小さいながらも美しく幻想的な世界を秘めている一滴の水滴。この小さな世界に広がる幻想的な景色を、マクロレンズを使って、簡単に撮る方法をご紹介いたします。
Lesson 3
ブレ&ピンボケを防止するために三脚を使いましょう
クローズアップの撮影は写す範囲が狭いぶん、わずかな揺れも大きな動きとなって、通常の撮影よりもぶれやすい傾向があります。また体は微妙に前後にも揺れているので、ピントのズレも生じてきます。確実に撮るためには、面倒でも三脚を使いましょう。
手持ち撮影ではぶれてしまったが、三脚を使えばバッチリ
三脚は重たいし、扱いが面倒に感じるが、せっかく撮った写真がぶれていたらもったいない。しっかり三脚に据えれば、カメラブレもなく、ピントもずれずにシャープに写せる。ぬれた草花を撮るなら、開脚角度が変えられ、ローアングルにも対応する三脚を選ぶとよい。
Lesson 4
ぼかしてもキレイなので絞りを開けて撮りましょう
小さな水滴は、背景をぼかして際立たせることが大切。また主役にするだけでなく、水滴自体をぼかして脇役とするのもきれいです。ボケの大きさは絞りによって変わるので、大きくふんわりぼかすために、絞りは開放付近にします。ぼかした水滴はきらめくので、空間を埋めるのに最適です。
F2.8
F8
丸くぼけた水滴がきらめいてキレイ
水滴に曇り空が反射して白く見える部分があるが、そこがぼけると白い丸型になる。絞り込むとボケが角ばったり、小さくなったりするので、開放で撮ろう。
Lesson 5
雨天時の雰囲気をホワイトバランスで演出しましょう
晴天時に比べて、雨天時の光はほんのりと青みがかっています。その青みが雨降りの感じを醸し出すのですが、ホワイトバランスをオートで撮影すると青みが補正されてしまいます。水滴は透明なので色がのりやすく、太陽光(晴天)モードでも青みがほんのりと出てきますが、より雨天時の雰囲気を強調したいなら電球モードがおすすめです。
WB「電球」
WB「オート」
青みがかるWB「電球」を選んで涼しげな描写にする
曇り空を背景にすると、グレーになって彩りも寂しい。そこでWB「電球」を選ぶと、全体が青みがかった描写になった。青い色が画面を覆うので色彩のインパクトがあり、クールな雰囲気が雨の日にもぴったりだ。どの設定(色)が合うかは、背景の色や全体の雰囲気を見て選ぶといい。
マクロレンズでの撮影時には、ぶれたり、ピンボケしたりしてしまうことがよくあります。これを防ぐために、三脚を使用することをおすすめします。カメラの設定では、絞りやホワイトバランスを色々調節してみましょう。より印象的な一枚を撮れるかもしれませんよ。
写真・撮影 / 吉住志穂
Profile
吉住志穂(よしずみ・しほ)
1979年、東京都生まれ。日本写真芸術専門学校を卒業後、写真家・竹内敏信氏に師事し、2005年に独立。自然が持つ「こころ」をテーマに、花や風景の作品を撮り続けている。カメラ雑誌などでの執筆多数。オリンパス・デジタルカレッジをはじめ、さまざまな写真教室の講師としても活躍。(社)日本写真家協会会員。