紅葉シーズンがまもなくスタートする。撮影に出掛ける前に、紅葉撮影に必要な機材から基本となるカメラ設定、撮り方までをこの記事でチェックしよう。そして、基本をマスターしたら実践だ。より紅葉が映える構図や鮮やかな色の引き出し方をマスターして、オススメ撮影スポットにでかけよう。
紅葉撮影の超キホン
紅葉の深みを出すときはマイナス補正
特に曇天時の紅葉は、露出補正なしで撮ると色が浅くなりがちだ。マイナス補正すると全体の濃度が上がり、色の深みを引き出すことができる。この際、マイナス0.3~0.7補正ぐらいを目安とするとよいだろう。これは赤色の紅葉に有効な方法ではあるが、イチョウなどの黄葉ではマイナス補正で濁りが出やすくなるので不適である。黄葉の場合はプラス補正で華やかに仕上げるのがよく似合う。
また晴天時の逆光で、背景が暗い場合もマイナス補正が必要になるシーンだ。背景が暗いと露出計が暗い被写体と判断するため、露出補正をしないと紅葉が露出オーバーになってしまう。光を受けた紅葉と背景の暗い部分の面積比によって補正量は異なるが、暗い部分が多いときはマイナス0.7~1補正を目安にしよう。あまり難しく考えず、撮影後にモニターで明るさの確認をすればいい。露出をばらして撮っておくのも有効な手段だ。
±0
-0.7
補正なし(±0)では紅葉の色が出ておらず、浅い橙色になってしまった。マイナス0.7補正すると深みのある橙色に仕上げることができた。赤系の紅葉はマイナス補正すると色の濃度が上がり、色の深みを生かしやすい。
空が背景になるときはプラス補正
天候に関わらず、空を背景に紅葉を撮影するときは、露出がアンダーになりやすいので注意が必要だ。青空を背景にしたときは補正なしで適正になることもあるが、多くの場合、プラス補正すると明るく爽やかな雰囲気を引き出せる。必要な補正量はプラス0.3~0.7補正程度なので大きな失敗をすることは少なく、RAW現像でも対応できる。
そして特に注意したいのが、曇り空を背景にして紅葉を見上げるように撮影するときだ。曇り空は見た目には暗いが、紅葉との明暗差は大きく、補正なしだと紅葉がかなり露出アンダーになってしまう。適切なプラス補正をすることで、白バック効果を生かして紅葉の爽やかな色を引き出すようにしたい。プラス1程度の補正ではなく、プラス2~3補正が必要となることもあるので、撮影後のモニターチェックは欠かせない。
±0
+0.7
補正なし(±0)だと青空の深みは出るが、紅葉が陰になったように暗く写っている。プラス0.7補正すると紅葉が明るく華やかになり、青空にも爽やかさが感じられる。
±0
+1.3
曇り空を背景にして、ブナの黄葉を撮影。ブナに対して曇り空は圧倒的に明るく、補正なし(±0)だとかなり暗くなってしまった。プラス1.3補正すると明るく爽やかになった。
写真・解説/深澤 武