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人気フルサイズミラーレスの実用度を比較テスト!③EVF「動き」の表示は?

新機種が続々登場して、注目が集まるフルサイズミラーレスカメラ。今、いちばん「写す力」の高いフルサイズミラーレスはどれなのか? 重要ポイントでの実用度をチェックする。今回テストするのは、EVFの「動き」の表示だ。

 

 

連写時のEVFを動画撮影して表示タイミングをチェック

EVFとなると、気になるのが連写中の見え方。場合によってはカクカクしたコマ表示になり、被写体を追うのが難しくなってくる。これが実際にどう表示されているのかをEVF内を試しにスローモーションで撮影、コマ数でチェックしながらその描写タイミングを見てみた。

 

<以下の図の凡例>
動画像
静止像(撮影像とタイミングが異なる)
静止像(撮影像とタイミングが同じもの)

 

ニコン Z7

高速連写 H

ブラックアウトは1コマごとに入る。ブラックアウトの時間が表示時間よりもちょっと長め、かつ連写速度がそれほど速くはないので、被写体を追うには少し見づらく感じる。

 

 
高速連写拡張 H+

ブラックアウトはなし。最初の静止像は表示のみで、2コマ目の静止像が撮影1コマ目と同じカットになり、以降それが続く。後打ち感が強いシャッター音も相まって若干撮影リズムが取りづらい。
 

 

ソニーα7R III

Hi(60fps表示)

ブラックアウトは1コマごとに入る。ブラックアウトするときはフェードアウトするように表示され、明けは信号的にスパッと切り替わる。Z7ほどコマ間の暗転は気にならない。

 

 
Hi+( 60fps表示)

開始時のブラックアウト後は撮影コマと同じカットがそのまま表示され続ける。連写速度が約10コマ/秒と高速なこともあってカクカク感はあまり感じない、滑らかな連写感覚。
 

 

キヤノン EOS R

高速連写・サーボAF(滑)

高速表示なしでは、表示される静止像に対し、若干遅れた像が1コマ目となり、以降そのタイミングで続く。コマ速が遅めなので、カクカク感は強くなるが、ブラックアウトはなし。

 

 
高速連写・サーボAF (滑・高速表示)

高速表示なしと比べると、間に撮影像と同じコマが挟まって表示され、表示コマ数は倍になるのでその分カクカク感が減り、滑らかに表示される。同じくブラックアウトはなし。
 

 

連写時のEVF「カクカク表示」だが、メーカー・機種ごとで「いつの映像」「どんなタイミング」がまったく違っていた。

ソニーはブラックアウトを上手に見せている。

各機種のシャッター方式、表示レートなどを変えながらいろんな条件で試したが、その中から6つの状態をそのタイミングがわかりやすいように簡易的な図で示してみた。カクカクしてしまうのは、通常のフレームレートから、連写中には撮影コマ数に応じた静止画として表示されているというのが大きな理由だ。ただ、そこで表示されているのは撮影されたコマそのものの場合もあれば、その間の時点を表示する場合もあることがわかる。EOS Rのサーボ時の高速表示では撮影コマと間コマの両方を表示させることで滑らかに見せている。

また、EVFでよく話題にされるブラックアウトだが、ソニーα7R IIIではこれをあえて演出的に使っているように見える。スタート時のキレの良すぎるブラックアウトはもちろん、Hiモードではブラックアウトの直後に静止画がパッと見えた後、フェードアウトしていく。これはどう見てもコントロールされた演出。特にスタート時はカチンコのように一発ブラックアウトが入った方が、確かに撮影したことを実感しやすい。見せ方の工夫を感じる部分だ。
 

 
写真・解説/増田賢一
モデル/草野 結(シェリーズ・エンタテインメント)