だんだんと暖かくなってきて、撮影にも出かけやすい季節になってきた。ということで、本稿では4月下旬から5月いっぱいにかけて楽しめる日本全国の春の絶景を風景写真家に紹介してもらう。今回の推薦人は深澤 武さん。
おすすめの撮影スポット⑥シワガラの滝(兵庫・新温泉町)
洞窟の中から滝を撮影する――輝度差が弱い曇天時がベスト
あまり人がいないため静かな滝撮影が行なえる
兵庫県北部、小又川渓谷にあるシワガラの滝は、洞窟の中から見られる滝として知られている。ハードな山道を下り、洞窟の直前は膝下くらいの川に浸かりながら歩く。歩道の入り口から滝までは徒歩30分ほどだが、足元があまりよくないので慎重に行動したい。川の中に入るので長靴も欠かせない。
洞窟の入り口付近は怖い雰囲気だが、意を決して内部に入ると苔むした岩に一筋の滝が眼前に現われる。落差は10メートルほどなので決して大きくはないが、洞窟らしいシルエットを生かしたり、苔むした岩の広がりを出したりすると見栄えよく仕上がる。そのためには超広角レンズが必要だ。洞窟内部からの撮影となるため、晴天時は明暗差が強くなりすぎて撮りづらい。背景の森の緑や渓流のシャドー部をしっかり捉えるには、曇天の拡散光で撮影するのが◎。
引きが取れないので超広角で撮影。飛沫にも配慮しよう
洞窟の中から超広角13ミリレンズで撮影した。洞窟内はあまり引きを取れないので、滝の全景を捉えるにはできるだけ広い画角のレンズが欲しい。また滝から飛沫が飛んでくるので、傘で飛沫を防ぎつつ、まめにレンズを拭きながら撮影した。
ニコンD800E シグマ12~24ミリF4.5-5.6Ⅱ DG HSM 絞り優先オート F11 1/2.5秒 -1補正 ISO200 WB:晴天
【撮影情報】
時期 | 5月下旬 |
時間帯 | 夕方 |
天候/光 | 曇り |
焦点距離 | 13ミリ相当 |
使用アイテム | PLフィルター、三脚 |
※本記事はカメラ雑誌「CAPA 2018年5月号」を元に制作しております。掲載されている情報は、当時のものですのでご了承ください
シワガラの滝を訪れたらココにも寄りたい!「但馬高原植物園」
見所は「和池の大カツラ」新緑が眩しい5月に訪れたい
但馬高原植物園の撮影ポイントは和池の大カツラだ。駐車場から整備された遊歩道を10分ほど歩くとある。5月は新緑が瑞々しく、一年で最も爽やかな季節と言ってよいだろう。大カツラの周囲は木製の園路となっており、混雑することは少なく、幅も広いので撮影はしやすい。植物園なので季節の花々も多く咲く。マクロレンズがあればより撮影を楽しめる。
大カツラと清流、そしてシダを広角レンズでフレーミング
カツラの千年水と呼ばれる清流が、大木の根の下を流れる和池の大カツラ。大木とともに森の広がりを出すには超広角レンズが必要。根の足下を流れ出る清流を生かしつつ、左手前に大きなシダを見せることで、森の深さが伝わる作品に仕上げた。
ニコンD800E シグマ12~24ミリF4.5-5.6 Ⅱ DG HSM 絞り優先オート F16 8秒 -0.7補正 ISO200 WB:5000K