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今年の紅葉撮影は迷わず水辺へGO! “リズム感”を盛り込む水辺の秋景フレーミング

今夏は各地で猛暑の日が続く。そこで心配になるのが、紅葉の色づきだ。もし山の落葉広葉樹が期待していたほど鮮やかでなかったら……目指すは、水辺。冷涼な気温と湿気により、滝や渓流沿いの木々は鮮やかに色づきやすいのだ。流れのラインや水面反射を上手に利用したフレーミングのコツをご紹介しよう。

 

水面の映り込みは間の取り方とリズミカルな構図を意識しよう

紅葉風景は言うまでもなく絶好の秋の被写体。その中でも紅葉と水の組合せはとても相性が良く、華やかで潤いのある写真に仕上げられる。水辺は寒暖差が大きく、常に湿り気を帯びていることで紅葉がひときわ鮮やかに色づきやすい。また、紅葉の色合いが思わしくないような年でも、気温が低い水辺では美しい彩りに出会える確率が高くなる

このような場面で狙いたいのが、紅葉の色が渓流や湖などの水面に映り込んだ風景だ。撮影できる条件としては晴天で紅葉に光が当たっていること、水面部分が日陰になっていることが挙げられる。日陰の青味を生かして作画する場合は「ホワイトバランス=太陽光(晴天)」「色の仕上がり設定=風景(ビビッド)」といった設定にすると、青カブリを鮮やかな深みのある色合いで表現できる。

映り込みの風景は色に重点を置いた画面構成となるため、現場では色彩感覚を研ぎ澄まして撮影に臨みたい。ただ漠然と写すのではなく、目の前の美しい光景に惑わされずに〝こういう風に表現したい〞といった明確な意図を持つことが大切で、奥行きや余韻を感じさせる構成にするとより内容の濃い写真に仕上げることができる。その際には水面部分だけを切り取るとスケール感が出しづらく、現実感のない不安定な画面に感じられるため、周囲の岩や木なども積極的に画面に取り入れて作画しよう。

 

【ポイント1】大きく“間”を取りつつ画面を引き締める

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▲湖面から顔を出す枯れ木。朽ち果てようとする姿と、今が盛りの紅葉を対比させて構成する。枯れ木とその映り込みを画面いっぱいに捉えているため、少し単調な印象だ。



画面左側の空間を大きく取って“間”を作り、枯れ木が持つ寂しげな表情を強調する。左側の暗い部分も入れることで、紅葉の鮮やかな映り込みをより際立たせた。最も鮮やかな映り込みの上に枯れ木を重ねて印象度を高める工夫もしている。

キヤノンEOS 5Ds R EF100-400mm F4.5-5.6L IS Ⅱ USM 絞り優先AE F14 1/5 秒 -0.3補正 ISO100 WB:太陽光 PLフィルター使用

 

映り込みの暗部にポイントとなるものがないと、画面の左側が間延びしたような印象になってしまう。ここでは小さな明るい映り込みを入れて“ 間” の部分を引き締めた。

 

【ポイント2】雲の動きを予測して空の分量を変更する

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対岸の紅葉と青空のコントラストの美しさ、山の曲線のリズム感が心地よくてカメラを向けた。目立つ紅葉と山の頂部、青空に浮かぶ雲がほぼ同じ位置にあり、落ち着きのない画面になった。



雲は画面に動感を与えてくれる大切な要素だが、その位置や切り取り方によってはジャマ物にもなることがある。この場面では雲の動きを予測して、あらかじめ空の分量を多く取り入れてフレーミングしている。

キヤノンEOS 5Ds R EF24-105mm F3.5-5.6 IS STM 絞り優先AE F10 1/60秒 -0.7補正 ISO100 WB:太陽光 PLフィルター使用

 

目立つ白い雲が画面の右上部まで移動するのを待ってシャッターを押す。雲の位置を紅葉と山の頂部からずらしたことで、安定感のあるスッキリとした構図になった。

 

【ポイント3】自然が作り出すラインを意識して画面を構成する

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渓流に映り込んだ紅葉の色。一番目立つ手前の黄色い映り込みを軸にして画面を構成する。岩場の水たまりにも気を配ってフレーミングしているが、この部分の紅葉の映り込みが弱く、全体的に物足りなく感じられる。



岩場にある水たまりにも紅葉が映り込むように撮影位置を右側に移動して、水流や岩のラインも意識しながら画面を構成した。青色と黄色の組合せはとても相性が良く、秋ならではの清涼感を表現することができる。

キヤノンEOS 5Ds R EF24-105mm F4L IS Ⅱ USM 絞り優先AE F22 0.6秒 -1補正 ISO100 WB:太陽光 PLフィルター使用

 

手前の渓流と水たまりの映り込み、そして奥の渓流の僅かな映り込みと黄葉を意識して、リズム感のある並びになるように広めに切り取った。奥の黄葉まで入れたことで奥行きが感じられる写真になった。

 

【ポイント4】映り込みの反射具合をPLフィルターでコントロール

PL効果[弱]

 

PL効果[強]

紅葉の映り込みを撮るときに欠かせないのがPLフィルターだ。このような場面では水面の反射を除去するのではなく、反射具合や映り込みの色を調整する目的で使いたい。撮影現場で迷ったら、効かせ具合を変えて何枚か写しておこう。

 

PLフィルターは二重構造になっていて、前枠を回転させて使用する。ファインダーをじっくり見ながら偏光効果を確認しよう。撥水加工が施された高品質な製品がオススメだ。