本格的なマクロレンズがなくても、接写に強いレンズはたくさんある。デジタル時代の今なら撮影も簡単。超広角から超望遠まで、最大撮影倍率が0.5倍クラスのマクロ撮影が楽しめるオススメレンズを紹介しよう。
【2020年6月1日追記・修正】
記事初出時、「マイクロフォーサーズやAPS-Cサイズ機はセンサーサイズが小さいぶんクローズアップの度合いが高くなる。フルサイズ機と比べると最大撮影倍率が2倍ないし1.5倍(キヤノンは1.6倍)になるのだからおいしい。」との記載がありましたが、「最大撮影倍率」ではなく「焦点距離」の誤りでした(現在は修正済み)。
フルサイズからMFTまで接写に強いレンズが充実
マクロレンズと言えば、昔は高価なうえに特殊なものという扱いで、庶民の味方はマクロ機能付きのズームレンズだった。通常撮影時よりも画質が落ちるなどの難点はあっても、便利さや使い勝手の良さで人気だった。
それがデジタル化以降は設計技術が進んだお陰で、マクロ機能抜きで寄れるレンズが多くなった。
最近ではパナソニックのS24-105mm F4やタムロンの20/24/35mm F/2.8 Di III OSDのようなレンズ単体で0.5倍という、昔ならマクロレンズとして通用する高倍率のクローズアップ撮影が可能なものも増えてきた。
反対に、キヤノンRF24-105mm F4-7.1 IS STMやタムロン70-180mm F/2.8 Di III VXDのように、MF時のみ利用できるマクロ機能(周辺画質は落ちるが、写りは楽しい)を備えたレンズも登場してきている。
一方、マイクロフォーサーズやAPS-Cサイズ機はセンサーサイズが小さいぶんクローズアップの度合いが高くなる。フルサイズ機と比べると焦点距離が2倍ないし1.5倍(キヤノンは1.6倍)になるのだからおいしい。マクロ以外のレンズで寄りたいならマイクロフォーサーズやAPS-Cサイズ機を選んだほうが有利なのだ。
それを踏まえると、35mm判換算の最大撮影倍率が0.5倍というのが「マクロ以外の寄れるレンズ」の目安と言える。国内メーカーの現行レンズでこの基準に当てはまるのはざっくり数えて30本強。その中から注目のレンズをピックアップして紹介する。
最新光学設計による0.5倍フルサイズ用レンズ!
(1)タムロン 20/24/35mm F/2.8 Di III OSD M1:2 (最大撮影倍率/0.5倍)
このサイズの単焦点で開放F2.8というのは物足りなく感じるが、最短撮影距離はそれぞれ0.11、0.12、0.15m、最大撮影倍率はいずれも0.5倍と高いところは見逃せない。中望遠マクロでは狙えない広がり感のあるクローズアップ撮影が楽しめる。
(2)パナソニックLUMIX S 24-105mm F4 MACRO O.I.S.(最大撮影倍率/ 0.5倍)
フルサイズ用のSレンズにはまだマクロレンズがないが、代わりにこのS24-105mmがズーム全域で0.3mまで寄れる。最大撮影倍率はテレ端で0.5倍。中望遠マクロとしても十分活用できる。開放F値は暗めだが、Sレンズの中では軽快で手持ち撮影もしやすい。
(3)タムロン 70-180mm F/2.8 Di III VXD (Model A056)(最大撮影倍率/ 0.5倍 ※MF 時・ワイド端)
AF時の最短撮影距離はズーム全域0.85m、最大撮影倍率は0.22倍だが、MF時にはワイド端で0.27mまで寄れて、0.5倍の中望遠マクロとして活用できる。本格マクロの同社90mmにはおよばないものの、草花などをファンタジックに撮れる1本だ。
(4)キヤノン RF24-105mm F4-7.1 IS STM(最大撮影倍率/ 0.5倍 ※MF時・ワイド端)
AFでも0.4倍(テレ端)まで寄れるが、MF時はセンターフォーカスマクロ機能が利用でき、0.5倍までの近接撮影が可能となる。周辺部が大きくぼけるので印象的な画面に仕上げられる。草花やミニチュアなどの撮影でユニークな効果が楽しめる。
接写に強いマイクロフォーサーズ用レンズ
(5)オリンパス M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO(最大撮影倍率/ 0.25倍 ※35mm判換算0.5倍相当)
開放F値を抑えたコンパクトサイズのPROシリーズ標準ズーム。最短撮影距離はズーミングで変動するタイプで、最大撮影倍率はズーム全域で0.5 倍相当を実現。ズームしても同じ倍率で撮れるので、ワイドマクロからテレマクロまで表現の幅が広いのが強みとなっている。
(6)オリンパス M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO(最大撮影倍率/ 0.24倍 ※35mm判換算0.48倍相当)
オリンパスには寄れるレンズが少なくなくて、換算600mm相当の超望遠レンズでも1.4mまで寄れる。最大撮影倍率は0.48倍相当と準マクロ級。しかも、三脚座なしで1.3kg弱と軽快なのでフィールドでの使い勝手もいい。草花や昆虫などを離れた場所から接写できる。
(7)パナソニック LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S.(最大撮影倍率/ 0.3倍 ※35mm判換算0.6倍相当)
パナソニックのマイクロフォーサーズ用レンズにも近接能力の高いモノが多く、このLEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mmはワイド端で0.2m、テレ端でも0.24mまで寄れる。背景をぼかした定番的クローズアップはもちろん、ワイドマクロとしても活用できる。
(8)フォクトレンダー NOKTON 60mm F0.95(最大撮影倍率/ 0.25倍 ※35mm判換算0.5倍相当)
35mm判換算120mm相当でF0.95という超大口径を実現したマイクロフォーサーズ用望遠レンズ。この明るさで最短撮影距離は0.34m、最大撮影倍率0.5倍相当は驚異的と言える。背景を大きくぼかした独特のクローズアップ表現が楽しめるのが一番の魅力だ。
軽快に扱えるAPS-C一眼レフ用ズーム
(9)HD PENTAX-DA FISH-EYE 10-17mm F3.5-4.5 ED(最大撮影倍率/ 0.39倍 ※35mm判換算0.59倍相当)
APS-C用の対角線魚眼ズームながら最短0.14mまで寄れて、最大撮影倍率は0.59倍相当にもなる。極端に広い画角と強いタル型の歪曲収差を生かした独特の表現が可能。単焦点の魚眼レンズと違って画角を狭められるため、フレーミングを自在に変えられるのも見どころだ。「トキナー AT-X 107 DX Fisheye 10-17mm F3.5-4.5」(参考価格/70,270円)も同じ光学系を採用している。
(10)シグマ 17-70mm F2.8-4 DC MACRO OS HSM|Contemporary(最大撮影倍率/ 0.357倍 ※35mm判換算0.54倍相当))
標準レンズではワイド端でしか寄れないレンズも多いが、このレンズはズーム全域で最短0.22m。テレ端では0.54倍相当と近接能力が高いので、1本で遠景からクローズアップまで幅広く活用できる。開放F 値がやや明るめながらコンパクトにまとまっているのも魅力だ。