ソニーのミラーレスカメラやコンパクトデジタルカメラ利用者に無償で提供されるアプリケーションソフトウェア「Imaging Edge (イメージングエッジ)」。その機能の1つ「Edit」では、RAWやJPEG、TIFFファイルを取り込んで画像の調整を行うことができる。今回はその具体例として、「色合いや彩度を調整して紅葉を見栄えよく仕上げる」ケースを解説する。
クリエイティブスタイルの「紅葉」を利用する
クリエイティブスタイルは、用意された項目を選択するだけで写真の発色や階調を素早く切り換えられる機能だ。撮影時にカメラのメニュー画面から選択できるほか、「Edit」によるRAW現像の際に、撮影時とは違ったクリエイティブスタイルに変更することができる。右の元写真は、クリエイティブスタイルの「スタンダード」で撮影したが、日陰のため紅葉の印象がやや弱く感じる。
そこで……
クリエイティブスタイルを「紅葉」に切り換えることで、より濃厚でインパクトのある色合いに仕上がった。さらに、[トーンカーブ]を使って影になった部分を明るく補正した。暗部を持ち上げた際に生じやすいノイズについては、[ノイズリダクション]をマニュアルで設定して目立たないように調整した。
<BEFORE>
改善Point① 紅葉の色合いをいっそう鮮やかにする
改善Point② ノイズが目立たないように低減す
改善Point③ 薄暗い室内を明るく補正する
↓
<AFTER>
[クリエイティブスタイル]を[紅葉]に変更し、さらに[色合い(色相)]や[彩度]を調整したことで、鮮やかで見栄えのする紅葉写真に仕上がった。加えて、室内の状況も伝わるように、[トーンカーブ]を使って暗部を少し明るく補正している。
調整の手順
STEP1 [クリエイティブスタイル]を[紅葉]にして鮮やかさを出す
まず[クリエイティブスタイル]パレットを表示し[紅葉]を選択。彩度が高まり、紅葉が見栄えのする色合いになった。[クリエイティブスタイル]は全体の色やコントラストに影響を与えるため、調整の最初の段階で変更しておくとよい。
STEP2 [色調]調整の[色合い]を使って紅葉の発色を調整する
さらに、[色合い]や[彩度]を変更して、発色を整えていこう。調整パレットの[色調]を開き、[色合い(色相)]スライダーを左方向に動かして「−27」に設定。これにより、紅葉の赤みがいっそう強調されるようになった。
STEP3 [彩度]を変更してより鮮明な赤を引き出す
[彩度]のスライダーを右方向に動かして「23」に設定。全体により鮮やかな色調になり、紅葉がさらに際立った。なお、あまり[彩度]を高めすぎると、微妙な色の階調が損なわれて不自然に感じる場合もあるので注意したい。
STEP4 [トーンカーブ]を使って暗部を明るく起こす
このままでは、やや暗いので、暗部の明るさを補正しよう。[トーンカーブ]パレットを表示し、直線の左下1/4の部分と右上1/4の部分に制御点を作成。そして緩やかな逆S字カーブを描くように制御点を移動すると、暗部が明るくなった。
STEP5 [ノイズリダクション]により暗部ノイズを低減する
明るくしたことで少しノイズが目立つようになった。そこで[ノイズリダクション]を開き、[マニュアル]を選んでから[カラーノイズリダクション]を[100]に設定。表示を拡大して確認すると、色ノイズが抑えられていることがわかる。
細部をチェックするときは[ピクセル等倍]で行おう
[ノイズリダクション]や[シャープネス]、[レンズ補正]など画像の細部にかかわる調整を行う場合は、[表示]メニューから[ピクセル等倍]を選択すること。全体表示の状態では、細部の補正が正確に判断できないからだ。
※調整後の画像の保存は、[ファイル]メニューの[現像出力]で行う。
この記事では『ソニー イメージングエッジ完全マスター』に収録されているテクニックの一部を紹介しています。
ソニー イメージングエッジ完全マスター
ソニー純正画像ソフト「Imaging Edge」のガイドブック。ミラーレスカメラ“α”シリーズをはじめとするデジタルカメラユーザー向けにソニーが無償提供しているイメージングエッジの使いこなし方がわかります。特にRAW現像は、プロの画像調整テクニックを詳しく紹介。カメラとスマートフォンの連携もわかりやすく解説しています。
https://getnavi.jp/capa/book/323184/