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インスタで活躍する注目フォトグラファー⑤ 築島好古 – 光を味方につけて飛行機をカッコよく

作品発表の場としてInstagram (インスタグラム) を活用するフォトグラファーが増えています。そこで、インスタグラムをメインに活動している新進フォトグラファー5人にインタビュー。写真を始めたきっかけ、機材のハナシ、そして今後のビジョンなど、インスタグラムのプロフィール欄には収まり切らない写真に対するアツ~い想いを語っていただきました。第5回は、築島好古さんです。

 

いま注目したい! インスタグラムで活躍する新進フォトグラファーたち

 

インスタグラムで活躍する新進フォトグラファー:築島好古
 

築島好古
1986年、福岡県生まれ。会社員。写真を本格的に始めたのは2013年ころから。ソニー、ニコンなどの機材を経て、現在はキヤノン「EOS R」「EOS 90D」を愛用。オフに時間をやりくりし、空港周辺へ通いつめる。好きな空港は福岡 (FUK/RJFF) と羽田 (HND/RJTT)。

@tukky1104
インスタグラムは2016年9月からスタート。旅客機や貨物機が織り成すドラマを光で描いた作品を投稿している。

 

築島好古@tukky1104

目覚めの街を飛び立つ鼓動をすくい取る
朱に染まる街並みを背に、シルバーに輝くジェットスターのA320がテイクオフ。朝の出発便に最高の光が当たる晩秋、シャッターを切る手にも自ずと力が入る。風や燃料積載量、機材 (機種) によって離陸位置が変わるため、なかなか思い通りにならないだけに“決まる”と達成感が込み上げてくる。

 

光を味方につけて飛行機をカッコよく撮りたい

朱に染まる街並みを背に、シルバーに輝くジェットスターのA320がテイクオフ。朝の出発便に最高の光が当たる晩秋、シャッターを切る手にも自ずと力が入る。風や燃料積載量、機材 (機種) によって離陸位置が変わるため、なかなか思い通りにならないだけに“決まる”と達成感が込み上げてくる。

 

私は現在、フルサイズミラーレスのキヤノン「EOS R」とAPS-C一眼レフの「EOS 90D」を愛用しています。基本的に広角撮影や朝夕・夜間撮影ではRを、日中でより望遠で撮りたいときは90Dと使い分けています。

 

一眼カメラで本格的に写真を撮り始め、まだ7年ほど。他社のカメラも使いましたが、AF性能や高速連写など、キヤノンは動きモノ撮影にも定評があるようですし、何より“撮って出し”の発色が自分好みでしたので、このラインナップに落ち着きました。

 

撮影で最も心がけているのはやはり「光」です。機体の一部が一瞬キラッと光ったり、空港の灯りが翼やエンジンに映り込んだり。それぞれの飛行機の個性を際立たせ、その存在感をカッコよく写せるシャッターチャンスを逃さないよう、いつも留意しています。

 

空港は風向きによって運用する滑走路が決まりますし、離陸や着陸の前に風向きが変われば、ランディングやテイクオフの方向・位置も変わってきます。ですから、風向きや時刻で撮影場所を移るなどします。

 

定番スポットからも撮りますが、ただ漫然とレンズを向けるのではなく、少しでも自分の個性を出せるように、風向き予想アプリをまめにチェックしますし、太陽や月の位置、雲の様子などにも気をつけて、光や絵柄の工夫を凝らすようにしています。

 

空港の照明や光跡を生かして撮る

薄暮の羽田空港を京浜島から望遠で三脚撮影。夜の飛行機撮影の楽しみの一つは飛行機の光跡が撮れること。駐機場から牽引される、エンジンのイルカマークが特徴のANAの整備士訓練用の機体となった“スーパードルフィン”。背後の滑走路に着陸してきたJAL機の鶴丸の光跡をあわせて静と動を表現した。

築島好古@tukky1104

 

インスタは視界が広がり発見や学びも多く得られる

インスタグラムを始めたキッカケは、妻からの「せっかく撮っているならインスタに投稿したら?」との一言です。で、福岡空港のハッシュタグを見ると、景色と飛行機を絡めた、情景的な写真を撮る方を発見しました。

 

それまで機体メインで撮っていた私は大いに触発され、以降は「撮影地の雰囲気を伝えられる飛行機写真」をモットーに、撮影に励むようになりました。

 

少し“航路”は外れてしまいますが、1年ほど前から航空専門誌の写真コンテストに応募するようになりました。条件としてプリントで送らなければならず、思い切ってキヤノンの「PIXUS PRO-10S」を購入しました。

 

インスタもコンテスト用プリントもレタッチしすぎには注意しています。映える加工を否定する気は毛頭ありませんが、私はキヤノンのDPP4 (Digital Photo Professional 4) で調整できる範囲で抑えています。

 

花と機体の春色の共演を順光で捉える

田植え前、福岡空港周辺の田んぼにはレンゲ草が咲き誇る。雲も理想的に広がり、最高の条件が整った中、ピーチ・アビエーションのフーシア色 (桃色と紫色の中間色) の機体がアプローチ。レンゲの花と調和する絵本のような世界を見せてくれた。花の密集感を出すため、ローポジションで狙った。

築島好古@tukky1104

 

世界中から反応がある。そのワクワク感はインスタグラムならでは

インスタには自分が納得のいく写真を投稿することを大事にしています。大げさですが、全世界の人に見られる可能性があるという意識を持つようにしています。

 

実際に何度か、海外の航空会社や空港の公式アカウントから「写真を使わせてほしい」などのオファーが入ったりしました。以前、福岡空港に飛来したウズベキスタンのチャーター機の写真を投稿したら、その機を操縦していた機長か副操縦士から英文でダイレクトメッセージが届き、写真を送ったら喜んでもらえました。まさにインスタならでは! 私も、とても嬉しかったです。

 

この3つがあれば準備万端! 飛行機撮影に必携のスマホアプリ

季節で日の出・日の入り位置が異なるため、「Lumos」(写真左) で太陽の位置を把握。滑走路の運用は風向きで変わるため、詳細な風向き予報アプリ「Windy」(写真右) をチェックし、撮影場所を検討する。飛行機の運航情報がリアルタイムでわかる「Flightradar24」も活用。

インスタグラムで活躍する新進フォトグラファー:築島好古

 

 

 

〈取材〉金子嘉伸