ここからは、惜しくも選外となった作品の中から、鶴巻育子先生が気になった作品をピックアップしてアドバイスします。
〈講評〉鶴巻育子
BROTHERS!
伊藤伸晃 (愛知県豊川市 / 豊川高等学校1年 / 写真部)
双子でしょうか!? ダイアン・アーバスをはじめとし双子を被写体とした作品は色々ありますが、双子は神秘的で魅力ある被写体です。この作品は、二人の顔を画面いっぱいに切り取ったことで、同じ顔が強調され迫力ある一枚になっています。せっかくのインパクトある写真ですが、露出が合っておらず、顔の一部が白トビしています。白トビは画像処理では救えません。撮影時にしっかりと露出を合わせることが重要です。
春ってうかれちゃう
向當和莉 (福井県越前町 / 17歳 / 福井県立丹生高等学校 / 写真部)
春は理由もなく浮かれてしまいます。特に今年の春はコロナの影響もあって、休校になり友人と会うこともできず、友人に会える喜びもひとしおだったはず。桜の樹の下で、その気持ちを身体全体で表している女子高生。微笑ましさを通り越して、滑稽で可笑しい。見ているとこちらも元気が出てきました。
いい瞬間を捉えていますが、色味に違和感があるのとブレが気になりました。色味もブレも意図的でしたら問題ありませんが、そうでなければしっかり設定しイメージ通りに仕上がるように心がけましょう。
コレクター (4枚組)
西川祐平 (愛知県豊川市 / 豊川高等学校2年 / 写真部)
目玉のコレクターということでしょうが、気持ち悪いのひと言ですが、この作品を無視できる人はいませんね。黒と白の背景のコントラストが場面転換として有効でした。技術的な面を磨き、ストーリーをさらに練って、今回きりにせずより凝った内容のシリーズにしてほしいです。
Creepy (3枚組)
道畑あおい (和歌山県田辺市 / 18歳 / 和歌山県立神島高等学校 / 写真部)
タイトル通り、不気味さが漂う組写真です。フォルムに惹かれる猫の尻尾と思われる最初の一枚はさまざまな想像が働きます。二枚目は「家族」や「大切なもの」を連想し、どこか懐かしさも感じます。一転三枚目は、事件が起こったかのような演出写真。どれも、心が騒つき印象に残るカットです。
「普段こういった写真を撮らないので挑戦してみました」とコメントにありましたが、いろいろな撮影に挑戦してみることは大賛成です。この先に、テーマ性を持ち、写真同士に関連性を感じられる組み方を考えてみましょう。