ここからは、惜しくも選外となった作品の中から、鶴巻育子先生が気になった作品をピックアップしてアドバイスします。
バラバラ
中田大介 (愛知県小牧市 / 15歳 / 愛知県立小牧南高等学校)
アー写のような作品ですね。皆さん、照れがなくなりきっているのが素晴らしい! 落ち込んでいるような所作の奥から2番目の男子に違和感。それがユニークとも取れますが。
人物の配置も悪くないですが、配置やポーズ、光などより綿密に計算された完成度の高い作品をぜひ今度見せてもらいたいです。
見て見て
本田保乃華 (愛知県犬山市 / 16歳 / 愛知県立小牧南高等学校)
アヒルの丸みを帯びた体のライン、羽を広げて立っている姿は、マンガみたいでかわいい。画面全体が鮮やかな青、緑、赤の色で構成されて爽やかな印象です。
この姿を捉えたことはお見事ですが、どうしても後ろの人物が気になります。避けることは難しい状況でしょうから、この人物を入れても成り立つ切り取りができるとよかった。瞬時に画面構成が行える訓練をしていきましょう。
ひだまりのもとで
山脇光生 (広島県庄原市 / 17歳 / 広島県立庄原格致高等学校 / 写真部)
男性がお寺の横で猫と戯れている様子。いい日差しが当たり暖かな雰囲気をより感じられ、猫の街、尾道らしい穏やかなスナップ写真です。高い位置から手前に葉を入れて構成したことで、そっと覗いているような作者の視線も同時に写りました。
シャープネスが強いのが気になります。シャープネスや色味を強くすると、一見目を引きやすいですが、プリントにしてみると不自然さを感じてしまいますので注意しましょう。
悪夢 (2枚組)
富岡 信 (埼玉県戸田市 / 18歳 / 埼玉栄高等学校 / 写真部)
無数の目と口が不気味で、タイトル通りまるで悪夢を見ているようです。水滴を利用した手法とセレクトしたモチーフのアイデアに抜群のセンスを感じました。黄色と赤のどぎつい色も不気味さを助長し、イメージにぴったりです。
2枚の組写真でも十分なインパクトですが、このシリーズで複数枚の組写真にしてみたら作品としてより面白さが増すと思いました。