ここからは、惜しくも選外となった作品の中から、鶴巻育子先生が気になった作品をピックアップしてアドバイスします。
チラッ
花田日菜 (愛知県小牧市 / 16歳 / 愛知県立小牧高等学校 / 写真部)
赤い首輪が似合う美人な三毛猫です。場所は作者の祖父の家だそうですが、テーブルには飲みかけのビール、背後は雑然とした食器棚など、おじいさんは写っていませんが、存在が感じられます。
周りの様子を一緒に写すことで、おじいさんと猫の暮らしぶりが感じられるのがよかった。どうせなら、より引いて周囲をもっと入れても面白かったと思います。
無題
京藤 和 (福井県越前町 / 18歳 / 写真部)
今の時代もパン食い競争が体育祭の競技にあるのが、微笑ましいです。真剣にパンを口で捉える仕草自体がとても滑稽ですが、写真はこの瞬間の前後が見えないことで余計にユニークに感じます。棒や白線のラインによって、不安定な構図になっている面白さもあります。
タイトル、コメントは応募票に記入したほうが、作者の作品への真剣度が伝わりますよ。
運命
川上将弥 (島根県大田市 / 15歳 / 島根県立大田高等学校 / 写真部)
ゴミに惹かれる気持ちに共感します。使命を終えた物たちの存在は、寂しげに見えたり、美しく見えたり、不思議な魅力を感じますね。アーヴィング・ペンをはじめ、これまでにたくさんの写真家がゴミを被写体にしています。
この視点、タイトルの付け方、とても素晴らしいと思います。主役であるゴミにピントが合っていないのは残念。また、俯瞰で捉えたゴミ籠のフォルムが際立つように全体の構図をもっと考えて撮影するとよかったでしょう。