ここからは、惜しくも選外となった作品の中から、鶴巻育子先生が気になった作品をピックアップしてアドバイスします。
幻想
須貝穂佳 (千葉県柏市 / 16歳 / 千葉県立柏南高等学校 / 写真部)
光が森いっぱいに降り注ぎ透明感のある風景。実際肉眼ではこの場所はもっと暗く、木々の間から逆光で光が差し込んでいると想像できますが、見たままを写すのではなく、須貝さんがこの風景を目の前にしてどのように見えたか (感じたか) わかるのがいい。それが写真表現の面白く興味深いところ。
ハイキーの画像で注意したいのは、白飛びです。手前の草がもう少し優しい雰囲気でディテールが残っているとよかったと思います。カメラの液晶画面やパソコンで見て良い場合でも、プリントすると美しくないことがあります。プリントを前提に考えましょう。
水面と桜
山岡 愛 (千葉県柏市 / 16歳 / 千葉県立柏南高等学校 / 写真部)
大きな水たまりを画面半分に配置しシンメトリーの構図が印象的です。雨上がりの青空と澄んだ空気を感じる爽やかな光景。桜も生き生きと咲いています。空の青、桜のピンク、草の緑と色のバランスも美しい。
とても良い視点ですが、ファインダーを覗いたときに右上の太い幹や手前の落ち葉に気づき、それらを画面内から外す構図を作るとより美しい作品に仕上がったと思います。
夏のイメージ (4枚組)
渡辺真由 (岐阜県御嵩町 / 18歳 / 岐阜県立東濃実業高等学校 / 写真部)
ポカリスエットに学生と来れば、奥山由之さんが撮影したポカリスエットの広告を思い出さずにはいられませんね。意識したかはわかりませんが、それよりも静かな夏が写っています。顔の見えない女子高生の姿と蝉の抜け殻が、何を伝えたいか見る側が想像する楽しみがあります。
全体が被写体に寄った写真が多い中で、2枚目の女性が走っている写真が入ることで変化が生じ良いアクセントにはなってはいますが、これだけ私服なのが違和感に。制服を着ていたほうが統一感が出たと思います。