ここからは、惜しくも選外となった作品の中から、鶴巻育子先生が気になった作品をピックアップしてアドバイスします。
船乗りの第一歩
板野龍斗 (香川県多度津町 / 17歳 / 香川県立多度津高等学校 / 写真部)
遠洋航海実習へ向かう先輩たちを見送りながら撮影した風景。色とりどりの紙テープがドラマチックで、船の出航は感動を覚えます。広角レンズを使ったダイナミックな構図が、大きな船や岸壁と船を繋ぐ紙テープの存在感を際立たせています。
とても印象深いシーンでいい写真です。先輩たちにも喜んでもらえそうです。気になったのは、空の白とびです。また、水面のキラキラした反射をもっと生かした空間の取り方などに工夫が見られると、「作品」としてより良い写真になったと思います。
内から見る世界
仲野咲季 (島根県大田市 / 16歳 / 島根県立大田高等学校 / 写真部)
眼鏡を利用した作品は珍しくはありませんが、横長のトリミングの効果が出て、眼鏡の縁がポイントとなり面白い絵ができています。写っているのはご自宅のお庭でしょうか? 美しい風景ではなく日常的な場面を選択したところに撮り手の個性も写り興味が湧きました。
一枚でみるにはちょっと寂しい写真です。この方法で日常を撮って複数で表現したほうがより面白さが増すと思います。さらに、ただ眼鏡を使って撮ると面白そうという感想から発展し、何か気づきがあるとより興味深い内容になりそうです。
親子
小坂海渡 (愛知県豊川市 / 豊川高等学校3年 / 写真部)
画面いっぱいに咲き誇る菜の花の圧巻の風景。隅にいる親娘がアクセントとして配置されています。二人ともスマホを操作しているようですが、「花よりスマホ」? 美しい花には眼もくれずスマホに夢中になっている姿に、今が写っています。写真は意識しなくても時代が写るのが面白いです。
輪郭を強調した画像は、パソコンの画面上では綺麗に見えたかもしれませんが、プリントすると不自然に見えることがあります。画像処理のし過ぎには十分注意しましょう。