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「USB4」「Thunderbolt 4」って何? 迷わず導入するために最新インターフェースをまるっと解説

すっかりType-C端子が主流となったUSB規格。しかし気が付くとThunderbolt対応と書かれていたり、見慣れないマークが増えている? 使用時や購入時などに混乱しないために、最新インターフェースを整理しました。

パソコンに搭載されるインターフェースが変わってきた

今回は、いま世の中を騒がせている最新のインターフェース、「USB4」と「Thunderbolt 4」について紹介しよう。「えっ、USB4? USB3.1じゃないの」と思ったあなた。そう、USB3.1はすでに2つ前の規格になり、現在は3.2がUSBの主流となっているのだ。

例えば、MSIのノートPC「Prestige-15」には見慣れたType-AのUSB端子が残っているが、搭載インターフェースの中心はType-Cであり、これはUSB3.2 Gen2互換のThunderbolt 4端子になっている。今後はこれが主流になっていくだろう。ストレージなど周辺機器も今後はType-C接続がメインになるはずだ。

最新OS「Windows 11」も発表されたが、古いPCではアップデートできない可能性があるようだ。新製品購入時に慌てないよう、また最新インターフェースを理解することで、快適なPCライフに役立ててほしい。

Thunderbolt 4対応のノートPC「MSI Prestige-15-A11SCS-006JP」

MSI社のクリエイター向けノートPC。最新のCPUと専用グラフィックスを搭載。デスクトップ並みのパフォーマンスで、画像・動画編集などに威力を発揮する。

USB4 & Thunderbolt 4 最新インターフェース解説
参考価格 : 187,800円 (税込) OS : Windows10 PRO パネル : 15.6型フルHDノングレア液晶 CPU : インテル Core i7-1185G7 (3.0GHz / Turbo4.8GHz / 4コア8スレッド) グラフィックス : NVIDIA GeForce GTX 1650 Ti Max-Q デザイン4GB GDDR6 内蔵メモリ : 16GB (8GB×2)DDR4 ストレージ : SSD1TB (M.2 NVMe)

■最新のThunderbolt 4端子を2基搭載

100Wの給電機能を持った最新のThunderbolt端子を2基搭載。形状はUSB Type-Cと同じだがThunderboltの雷マークが識別ポイント。コンセントのマークは給電機能対応を表す。

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■Thunderbolt 3 やUSB3も使用可能

Thunderbolt 4端子には下位互換があるため、Thunderbolt 3やUSB3.2 Gen2などのケーブルも使用できる。

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■マウスなどのためType-A端子も装備

ほかにも最新のUSB3.2 Gen2 Type-A端子を2基搭載。microSDカードリーダーも装備されている。

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なぜ、より高速なインターフェースが必要となるのか?

デジタルカメラを取り巻く環境は相変わらず凄いスピードで進化しているが、それと同じようにPC環境も驚異的なスピードで進化している。目に見えてわかりやすいのが記録メディアの進歩。最新のミラーレス一眼に採用されている高速なCFexpressカードなどがそれにあたる。CFexpress Type-Bカードは、読み出し速度は1700MB/s、書き込み速度は1500MB/sに達するなど、すでに少し前のUSB3.1 Gen2 の10Gbpsでは、速度がまったく足りなくなっている。

またPCのストレージの中心・SSDも、PCIe4.0×4の約8000MB/sなどの超高速な製品が搭載されるようになっている。こうしたデジタルカメラやPCの劇的に進化した環境に対応できるインターフェースが必要になってきているのだ。

そしてPCの液晶モニター接続にもインターフェースは関係している。映像の外部出力はFHDから4K、さらに8K表示に向かっており、例えば4Kモニターを2台つないで動画や静止画像をより美しく表示するためにも、USB4やThunderbolt 4規格の40Gbpsの転送環境が必要となってきている。

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サンイースト ULTIMATE PRO CFexpress Type Bメモリーカード
大容量2TBを可能にしたCFexpress Type-Bカード。2TBの読み出し速度は1700MB/s、書き込み速度は1500MB/sに達する。参考価格 128GB 13,680円〜2TB 89,000円 (税込)。

 

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プログレードデジタル CFexpress Type B Thunderbolt 3専用シングルスロットカードリーダー
高速転送が可能なThunderbolt3インターフェースを採用したCFexpress Type-Bカードリーダー。参考価格 15,443円 (税込)。

USB4とThunderbolt 4って何?

「USB4」は、Windows OSを搭載したPCに使用されているインターフェースの規格。USB1.0 → USB1.1 → USB2.0 → USB3.0 → USB3.1 → USB3.2と進化して、現在一番新しい規格がUSB4になる。

それに対して「Thunderbolt」はインテルとアップルが協同で開発した規格。Thunderbolt 1 → 2 → 3と進化して、最新バージョンは4になる。ThunderboltはMac用の高速インターフェースとして使用されてきたが、3からWindows PCにも徐々に搭載されてきている。どちらもPC本体とその周辺機器をつなぐインターフェースとして開発され、次第に高速に進化。そのほか、映像出力や給電もできるようになってきている。

USB4 & Thunderbolt 4 最新インターフェース解説
どちらも形状は同じType-Cになる。こちらはThunderbolt端子。

数の多いUSBの端子をType-Cでひとつに統一

いつの間にか複雑になってしまったUSBを理解するため、USB規格の端子の形状についてあらためて整理をしよう。端子形状は以前はバラバラだったが、現在、Type-Cに集約し始めている。

USBといえば誰でも思い浮かべるのが古くからあるType-A。そして周辺機器をつなぐために小型のmicroUSBが登場した。このmicroUSBがクセ者で、各社が基本的な規格を守りながら独自の形状を作り出してしまい混乱をもたらすことに。

そこで小型でも高速転送を可能にするUSB Type-Cという形状が考え出された。同時に、端子から表裏をなくし、どちらでも同じように接続できるメリットが生まれている。

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【注意ポイント】Type-Cケーブルには速度が遅いものがある

USBは徐々に進化してきたため、Type-Cケーブルも速度に合わせて複数存在している。遅いケーブルを使うと、転送速度はケーブルの持つ速度しか出ない。つまり、Tunderbolt 4やUSB4を生かすには、高速な対応ケーブルが絶対必要になってくるのだ。

USB4 & Thunderbolt 4 最新インターフェース解説
Type-Cケーブルには対応速度がある。高速な機器を使う場合は、それに見合ったケーブルが必要となる。遅いケーブルでは足かせにしかならない。

 

そして現在、そのために覚えておきたいのが、端子内に「E-Marker」を搭載したケーブルだ。端子の形状がType-Cであっても、このE-Markerが搭載されていないケーブルではUSB4もThunderbolt 4もその速度を出すことはできない。

USB4 & Thunderbolt 4 最新インターフェース解説
USB4 & Thunderbolt 4に対応したケーブルには、E-Markチップが搭載されている。

 

よってこれからType-Cケーブルを購入するなら、USB4やThunderbolt 4に対応したケーブルをオススメする。現在対応する機器を持っていなくても、下位互換によりUSB3.2やUSB3.1でもその規格の最速で動作してくれるので、この先、むだになることはない。

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Micro Solution Thunderbolt 4 / USB4ケーブル (Passive 0.8m 40Gbps対応)。参考価格 2,600円 (税込)。

【注意ポイント】Thunderbolt 3はソフト上で切り替えないと速くならない!

もう一つ注意してもらいたいことがある。現在のWindows 10 OSにてThunderbolt 3規格の周辺機器を完全な状態で動作するさせるには、ある設定が必要になる。

USB4 & Thunderbolt 4 最新インターフェース解説
高速なThunderboltと安心していると、思ったほど速度が出ない場合がある。

 

まず、PC側の端子がThunderbolt対応のType-Cであることが絶対条件だ。そしてThunderbolt機器をつないだときには「Thunderbolt コントロール・センター」というソフトを開いて、接続した機器をUSBからThunderboltに変更して認識させることが必要。

これはUSBとThunderboltでは使うコントローラーという機能が違うためで、USBの「UniversalSerial Bus コントローラー」をThunderboltの「PCI ExpressSerial Bus コントローラー」に切り替えることになる。ここを切り替えないとThunderbolt 3の真の性能を生かすことができないので、くれぐれもお忘れなく。また、この作業はThunderbolt 4とUSB4.0間では不要になる予定だ。

① Thunderbolt コントロール・センター

Thunderbolt機器をつないだら、スタートメニュー右横の検索項目に「Thunderbolt」と打ち込めば「Thunderboltコントロール・センター」が表示される。

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② つながれたThunderboltデバイス

この画面が出るので、中央に表示されているデバイスをクリックすると、コントローラーが切り替わりThunderbolt の正しいスピードで使えるようになる。

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USBの進化と転送速度

Type-Cを採用してから、USB は3.0 → 3.1 Gen1 → 3.1 Gen2 → 3.2 Gen1 → 3.2 Gen2 → 3.2 Gen2×2と進化し、転送速度も5Gbpsから20Gbpsまで高速に進化してきた。ただし、それに伴いType-Cのケーブルも速度に合わせて複数存在することになり、結果、形状はType-Cでも遅い転送速度のケーブルだと最高速度は5Gbps止まりになってしまう問題が出てきている。

こうした複雑さを一掃するため、インターフェースをType-Cだけに絞って、ケーブルも高速なものに統一。新たに規格化されたのがUSB4だ。USB4 Gen3なら20Gbps、USB4 Gen3×2なら実に40Gbpsの速度を可能としている。

USB4 & Thunderbolt 4 最新インターフェース解説

Thunderboltの進化と転送速度

Thunderboltは主にMacに搭載され、USBよりも転送速度が速いインターフェースだった。最初はMiniDisplayPortと同じ形状で、Thunderbolt 3からType-C端子を採用している。

形状がType-Cと同じであるため、Thunderbolt 3はWindows PCでも搭載され始めたが、互換性でさまざまな問題が発生することになった。Thunderbolt 3は最高40Gbpsの転送が可能だが、ケーブルの種類と長さにより速度が変わる特徴がある。一方、Thundebolt 3ができたころのWindowsのUSB Type-Cの最高速度は、3.1 Gen2の10Gbpsでしかなく、単なるType-CケーブルではとてもThunderbolt 3の40Gbpsは送れなかった。これでは問題が生じるのは当たり前といえる。

その後、端子の形状は一緒だが、中身は別モノのUSB Type-CとThunderboltを統一する意味で誕生したのがUSB4とThunderbolt 4で、結果的に最高速度も40Gbpsと、ほぼ同じモノとなった。今後は互換性の問題も解決されるはずだ。

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現在、MSIのPCのようにこれらに対応したPCがすでに登場し始めているが、実はTunderbolt 4やUSB4規格の周辺機器はまだあまり出てきていない。いずれ増えてくると思うので、今後に期待だ。しかし新しいPCを検討するなら、これからはThunderbolt 4を搭載したPCを購入した方がいいだろう。

 

 

※参考価格は記事執筆時点の量販店価格です。