ここからは、惜しくも選外となった作品の中から、鶴巻育子先生が気になった作品をピックアップしてアドバイスします。
一歩を大事に
山内位音里 (香川県多度津町 / 15歳 / 香川県立多度津高等学校 / 写真部)
淡い色でまとまった10代の肖像らしい爽やかな一枚です。友人に見せる自然な笑みが溢れる横顔も素敵です。水平もしっかり取っているのも良いですし、タイトルにあるように一歩を大切に進んでいるような動作もうまく捉えています。
本人もコメントに、「画像が落ちてしまった」と書いていました。画質の設定と印刷サイズが合わなかったようです。せっかくのいい写真です、設定は慎重に行いましょう。
家が遠い…
森川尊仁 (大阪府松原市 / 16歳 / 大阪府立生野高等学校 / 写真部)
お行儀が悪いかもしれないですが、子どもの立場になれば、外を眺めたくなる気持ちもわかります。後ろ姿から子どものワクワクする感じが伝わってきます。窓の外の流れる風景と窓からの光で陰影のついた車内の様子がきれいに描写されています。
斜めの構図がかなり気になります。私でしたら、横位置に構えて、どちらも青い服を着ている両端の乗客を入れた構図で撮影したと思います。決まりはありませんが、参考になれば嬉しいです。
陸送
川本 宙 (大阪府松原市 / 15歳 / 大阪府立生野高等学校 / 写真部)
新幹線が陸送される現場を撮影しています。夜の暗闇に浮かぶ新幹線の姿は、線路を走っている姿とはまた違ったかっこよさがありますね。手前の自動車に映った反射も美しい。それを画面内に入れようと考えたアイデアの瞬発力がお見事です。
単なる陸送する記録写真ではない美しい風景になっていますが、画面上の赤い光の反射や地面の黒などをより生かした切り取りにすると、さらに作品としての魅力が増したのでは?と欲が出てしまいました。
夜の客人 (3枚組)
八木梨菜 (愛知県豊川市 / 豊川高等学校 / 写真部)
昆虫や動物はよく見るとデザインが素晴らしいことに気づきます。この作品も、近づいたことで、模様がはっきりとわかり、フラッシュを使用し色味もきれいに確認でき、生々しさが出たのも良かった点です。
1枚目は模様と色の美しさ、2枚目はフォルムがはっきりとわかり網の模様と重なったのも面白いと思いました。3枚目もフラッシュが強く当たってインパクトが出て目を引きますが、アングルに少し工夫が必要でした。もしかしたら、もっとたくさんのカットを撮影しているのかもしれません。セレクトによって組写真は大きく印象が変わりますので、再考してみるのも良い勉強になりますよ。