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【2021ベストバイ】“マイ標準”のレンズを35mmから50mmにチェンジして大満足! カールツァイス Plannar T*2/50 ZM

2021年は少しずつ良い方へ変化の兆しが見え始めた1年でした。2022年は久しぶりに楽しい写真ライフを過ごせることを願って、プロ写真家やカメラライターに「2021年に買ってよかったモノ」を一斉調査しました。さあ、どんなアイテムが出てくるかお楽しみに!

プロが買って良かったモノ教えます! 2021ベストバイ特集

大浦タケシさんの2021ベストバイ「カールツァイス Plannar T*2/50 ZM」

【2021ベストバイ】大浦タケシさん
語られることの多い四方山話として、歳を取るにしたがい画角の狭いレンズを好むようになると言われているが、まさにそのような感じで購入に至った「Plannar T*2/50 ZM」。レンジファインダー用のレンズとしては手頃な価格も魅力。

ずっと35mmだった自分の“標準レンズ”を50mmに大きくチェンジ

2021年も前年に引き続き、個人的には生業の写真家関連は正直とても褒められるような状況ではなかった。それでも何とかいくつかカメラやレンズを買うことができたのだが、特に買ってよかったと思っているのがカールツァイスの「Plannar T*2/50 ZM」だ。コシナが製造するMマウントのマニュアルフォーカス単焦点レンズである。発売開始は同社のHPを見ると2005年1月15日となっているので、すでに17年が経とうとする年季の入ったレンズである。このところ当たり前のように搭載されることの多い非球面レンズなど特殊なレンズは用いられておらず、ダブルガウスタイプ4群6枚の光学系すべてを球面レンズとしている。

そのようなレンズをなぜ買ったかというと、仕事絡みではない個人的な撮影ではデジタルの距離計連動カメラを使うことが多いのだが (ここでカメラのメーカー名を出すと、俺ってすごいだろうという嫌な雰囲気になってしまうのでやめる)、これまで常用するレンズの焦点距離といえば35mmであった。それは写真を始めた高校生時代から綿々と続くもので、自分にとって“標準レンズ”は35mmと強く確信していたし、それなりに自信を持って使ってきたつもりである。

ところがここ数年、35mmの画角がちょっと広すぎて何となくしっくりこないように感じ始めていた。それを決定づけたのが今年の夏。もう少し画角の狭いレンズだったらと強く思うことが幾度となくあり、焦点距離50mmのレンズを手に入れるしかないと固く決意したのである!

しかし、それは懐的に大問題 (笑)。カメラと同じメーカーのものだと安いものでもキヤノン「EOS R6」が買えてしまうほどのお値段。中古にしてもほとんど新品と変わらない値段で、しがないフリーランスカメラマンにそんな余裕などなくあっさり諦めた。気持ち的には国産であるコシナ製のフォクトレンダーかカールツァイスに絞りこまれたのだが、所有する同じMマウントの21mmが「Biogon T*2,8/21 ZM」なので後者を選択することにした。

迷いに迷って購入した1本は写りも操作感も大満足

ただし、ここで迷いが発生する。なんと50mmのレンズが2本あるではないか! 結果的に購入することになった開放F2のほかに、開放F1.5の「C Sonnar T*1,5/50 ZM」があり大いに迷う (←実はこのときが何気に楽しい)。

最終的に決め手となったのは、やはりお値段。もちろんSonnarの写りがとか、Plannarの写りが、という話もあるかとは思うが、そんな微細なことよりも50mmという画角のレンズがとにかく欲しかったことが先行したのである。

かくして手元に届いて3か月ほどとなるが、写りにも操作感にも現状ではとても満足している。このレンズを装着するカメラがモノクロしか撮れないため、色収差などの発生については不明だが、絞り開放から解像感、コントラストとも文句なし。ボケ味も素敵だ。しかもフードも含め金属製の重厚なつくりの鏡筒はモノとしての魅力も備えている。いい写真が撮れる雰囲気を持つ50mmとして、今や自分にとって買ってよかったどころか、フェイバリッツな一本になりつつある。

実写作例

絞りは開放F2ながら、不足を感じさせない写りに思える。適度な解像感の高さとボケによる自然な柔らかさの、絶妙なバランスはツァイスらしいところ。ちなみに被写体となった小僧は、刀 (百均で購入したプラスチック製) を持つと笑わない。

【2021ベストバイ】大浦タケシさん
ライカ M モノクローム ZEISS Plannar T*2/50 ZM 絞り優先AE F2 1/90秒 ISO320 RAW