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【2021ベストバイ】あこがれ続けたスワロフスキーの双眼鏡が野鳥撮影のモチベーションを高めてくれた

2021年は少しずつ良い方へ変化の兆しが見え始めた1年でした。2022年は久しぶりに楽しい写真ライフを過ごせることを願って、プロ写真家やカメラライターに「2021年に買ってよかったモノ」を一斉調査しました。さあ、どんなアイテムが出てくるかお楽しみに!

プロが買って良かったモノ教えます! 2021ベストバイ特集

菅原貴徳さんの2021ベストバイ「スワロフスキー NL PURE 8×32」

【2021ベストバイ】菅原貴徳さん
スワロフスキー NL PURE 8×32。希望小売価格は396,000円 (税込)。

野鳥写真家もあこがれるスワロフスキーの双眼鏡

私が今年買ってよかったもの、それは「スワロフスキー NL PURE 8×32」。長年憧れ続けたスワロフスキーの“双眼鏡”だ。馴染みがない方のために、スワロフスキー双眼鏡の位置付けを簡単に説明すると、まさに憧れの高級双眼鏡、高嶺の花そのものである。値段も最高クラスで、価格は39万円を越える。レンズ沼に片足 (あるいは両足) を突っ込んでいる皆さんであれば、それほど驚かないかもしれないが……。

筆者にとっても、野鳥を見るようになってからの20年間、「いつかはスワロ!」とぼんやりと憧れ続けてはいたものの、その“いつか”を具体的に考えたことはなかった。ずっと愛用してきた興和の双眼鏡もまだ使えるし、買い替えの必要に迫られていたわけではなかった。

ただ今年は、たまたま約10年ぶりに新たなフラッグシップモデルが出るというタイミングもあって、レビュー依頼もいくつか舞い込み、最新のNLシリーズを試用する機会を得ることになってしまった。これが運の尽き。

試用機をいざフィールドへ持ち出して、鳥を見てみると、さすがバードウォッチングの本場、欧州で最高の評価を受ける双眼鏡。実に自然な発色で、よく見える。これで写真を撮るわけではないので、その見え味を伝えるのには難儀するのだが、一度のぞいたら取りつかれてしまうような澄んだ視界。そして、とても快適に「鳥を探し出せる」感覚があった。

“鳥を見る力”を磨くために最高の観察機材を手に入れたい

いざ試用期間が終わり、返却してしまってからもことあるごとに残像がよぎり、買う言い訳を考え始めて、「あぁ、これは今かもしれない」と購入を決心した。

新しい機材の購入を考える時、カメラであれば、やはりなるべく最新のものを使いたいところだし、レンズは許されるならなるべく1本でも多く揃えたいし……そうなるとどうしても後回しになりがちなのが観察機材だった。ただ、機材の進化を追うのに精一杯になって、「自分自身の“鳥を見る力”を磨くことがおろそかになっていないだろうか」と考えるようになり、ならばまずは最高の観察機材を手に入れよう、と思った次第でもある。

購入にあたっては、銀座の専門店で、同シリーズの8倍、10倍、口径が異なるもの、と約2時間、じっくり覗き比べ、最も自分の目に合うと感じた8倍32mm口径モデルを購入。長年の憧れを手に入れる喜びと、もう機材を言い訳にはできなくなる、という不安と、そして支払いと……ドキドキしながら購入してから半年ほどになるが、幸い一度も決断を後悔していない。むしろ、この澄んだ視野で鳥を捉えるたびに、「買って良かった〜」と思うと同時に、改めて見慣れていたはずの鳥たちの美しさに見惚れてしまう。

おかげで、かつて野鳥観察を始めた少年時代のような、新鮮な気持ちで身近な鳥を眺めることができている。それは間違いなく、フィールドに出るモチベーションを高めてくれているし、きっと作品づくりにも還元されていくことだろう。高い買い物ではあったけれど、アフターケアの評判も高いスワロ製品だけに、これから長く活躍してくれるはずだ。