2021年は少しずつ良い方へ変化の兆しが見え始めた1年でした。2022年は久しぶりに楽しい写真ライフを過ごせることを願って、プロ写真家やカメラライターに「2021年に買ってよかったモノ」を一斉調査しました。さあ、どんなアイテムが出てくるかお楽しみに!
その江さんの2021ベストバイ「ニコン NIKKOR Z MC 50mm f/2.8」
ずっと待っていた! 寄れて手軽なZシリーズのマクロレンズがついに発売
もともと仕事での料理写真はニコンのDシリーズのマクロレンズ「AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED」で撮ることが多く、それに代わるレンズがZシリーズで出るのを待っていました。「Micro NIKKOR 60mm」は、画質もよく、マクロ性能もよく、単焦点のボケ味もよく、とても愛用していたレンズ。カメラがZになっても、料理撮影ではマウントアダプターを付けて使っていたくらい。
同サイズのZレンズが早く出ないかと、待って、待って……ついに2021年にマクロレンズ2本が同時発売。この2本を使ってみて、やはり慣れている「NIKKOR Z MC 50mm f/2.8」の画角の使いやすさにときめきます。最近では誰もがスマホ写真の画角に慣れていることもあり、仕事でもやや広めの画角を求められることが多く、同時期発売の「NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S」より、50mmが使いやすい画角なのです。50mmは目で見た感覚でテーブル上のものを見れるので、写真の仕上がりを他者と感覚的に共有しやすいメリットもあります。
食べる前に料理をパチリ! がしやすいコンパクトさが嬉しい
伝わる写真を撮る! これは私がモットーとしていることで、昨今のSNS写真での表現においては、食べ物や、テーブルフォトなどをアップする時に一番気にする点です。
そして、椅子を引かずにピントを合わせて撮れること! これこそマクロレンズの強みです。どこかのレストランに行って、上品に食事をしたい。さらにそこでの素敵な食事をSNSにアップしたい。そっとZを出して、食べる前に撮る。コンパクトなレンズのサイズも嬉しいメリットです。
よくバッグに入っている愛機の「Z 6II」はまあまあコンパクトなサイズですが、「Z 50」ほど小さくないので、レンズはせめて小さくしたいのが本音。ある日、スナップはこれ1本でと「NIKKOR Z 24-120mm f/4 S」を「Z 6II」に着けて、ランチに入ったお店で食べる前に撮ろうとしたら、カメラが大きくて、まず一緒にいた友人に引かれ、さらにテーブルから離れないと最短でピントが合わず、構図的には立って撮りたいアングルで、「Z 6II」で撮ることを断念。結局スマホで撮影して、ご飯を食べた経緯がありました。
この「Z MC 50mm f/2.8」が出てからは、必ず「Z 24-120mm f/4 S」と2本で街歩きします。小さいサイズの「Z MC 50mm f/2.8」はバッグに入れても苦になりません。SNS用の写真はこれ1本で完璧です。
そして、単焦点のボケ味が美しく、とても良い作品づくりができます。ペットなどの写真をよく撮りますが、絞り開放で撮ることはあまりありません。少しだけ絞ってカリッとさせて、その後ろはボカしたい撮影が多く、瞳カリッと、あとはふわっと柔らかいグラデーションが欲しいのが通常。そして引きを撮りつつ、慣れてきたら瞳に接近して逃げる前に寄る! これができるマクロレンズは最高です。
実写作例1
直径1cmのキャンディーも、1.0倍の最大撮影倍率のレンズなら寄って撮れる。目で見た世界だけでなく、ファンタジーな世界が展開!
実写作例2
猫じゃらしに食いついた瞬間に手前の瞳にフォーカスポイントを合わせて撮影。最短撮影距離0.16mのマクロレンズだから寄り引きを気にすることなく撮影できるので安心してシャッターが押せた。