2021年は少しずつ良い方へ変化の兆しが見え始めた1年でした。2022年は久しぶりに楽しい写真ライフを過ごせることを願って、プロ写真家やカメラライターに「2021年に買ってよかったモノ」を一斉調査しました。さあ、どんなアイテムが出てくるかお楽しみに!
中西学さんの2021ベストバイ「ソニー Xperia」シリーズ
2021年を振り返って、買ってよかったと思えたのはスマートフォンです。思い起こせば、2021年3月発売のソニー「Xperia PRO」購入を皮切りに、1年で3機種を購入するという事態に…… (笑)。今まではiPhoneユーザだったのに、Androidをメイン機に変えてしまう事にまでなるとは。その理由を語っていきましょう。
HDMI端子搭載の「Xperia PRO」は映像制作に欠かせない
まずは「Xperia PRO」です。価格約25万円ということにまずビックリしますが、それもやむなし。世界初のHDMI入力端子内蔵のスマホなんです。
使い方はいたって簡単。カメラのHDMI出力からマイクロHDMI端子ケーブルで「Xperia PRO」の端子へ接続するだけ。カメラで写した内容をスマホに表示できるんです。それに加えて驚きなのが、カメラ+このスマホのみでライブ配信が可能という優れもの機能を搭載。しかもなんと4Kライブ配信までできてしまうんです。
さらにデュアルSIM対応なので、データ通信と通話のカードを別々に分けたり、データ量を分け合って設定することも可能です。
また、このスマホの液晶は、ソニーが長年培った技術の結晶である「マスターモニター※」担当の面々がこの液晶の最終調整まで行なったと聞き、さらなる価値を感じましたね。もはや映像制作には欠かせません。
※映像制作の現場で使われる専用の映像装置。色温度やガンマなど各種パラメータを正確に表示できる。
メイン機は4つの焦点距離を備えたレンズ内蔵の「Xperia 1 III」
次は「Xperia 1 III」です。「Xperia PRO」はSIMフリーモデルなので各キャリアでの販売はなく、ソニーストアなどからの購入になりますが、「Xperia 1 III」は日本国内のキャリアならどこでも扱っている、Xperiaの代表モデル。そして、フラグシップモデルです。
ソニー曰く「全部このスマホに技術を詰め込みました」とのことですが、中身を見ると「本当に詰まりすぎ!」というほど技術てんこ盛りです。まず目立つのが可変式レンズ内蔵です。なんとスマホの中に、4つの焦点距離 16mm / 24mm / 70mm / 105mmのレンズ (70mmと105mmが可変式望遠レンズ) を内蔵。どれもよく使う画角です。
カメラアプリも、αを普段使っているユーザならめっちゃ感動できます! 各レンズで位相差AFや瞳AFまで使えて、メニューの切り替え方式などもαの画面と同様になっています。
そのほか、JPG&RAWにも対応。動画撮影には「Cinema Pro」というアプリがあり、映画制作などに使われるシネカメラ「VENICE」などと同様のLOOKプロファイルで撮影できるというビックリな機能が入っています。カメラ以外でも、360 Realty Audio対応。HDRモニター、Game enhancerなど、まさにクリエイター向けの仕様。今や「Xperia 1 III」は私のメイン機。満足度200%です。
カメラ機能に特化した「Xperia PRO-I」はYouTube撮影に
最後は2021年12月に発売されたばかりの「Xperia PRO-I」。「I」は“Imaging”の頭文字で、「Xperia PRO」の新ラインとなる、カメラ機能に特化したスマホです。それなら前に紹介した「Xperia 1 III」でいいのでは? と思うかもしれませんが、このスマホ、なんと1インチのセンサーを24mm部分に内蔵しているんです。RXシリーズなどに搭載しているセンサーをスマホ用に改良し、この薄いボディに入れ込むとは、さすがソニー、さすがPROシリーズ!
さらに、レンズの絞りをF2とF4に切り替えできます。これにはめっちゃ驚きました。今までスマホにもポートレートモードなどの機能がありましたが、あくまで擬似的なデジタル処理。そこまでの感動はありませんでした。しかし、「Xperia PRO-I」に搭載しているのは物理的な絞りなので、カメラと同じなのです。実際に購入以来、私のYouTube撮影をこれで行なっていますが、「今後の撮影はこれでいいよね!」というレベルの映像を実感できています。
そして、初めての人でも本格的な動画撮影ができるアプリ「Videography Pro」をプリインストール。内蔵マイクはステレオマイク&モノラルマイクを撮影に応じて切り替えできるなど、まさに映像撮影に特化したスマホなのです。
すでにスマホは撮影機材の1ジャンル
1年に3台のスマホを購入しましたが、すでにスマホ=電話ではなく、映像機材の1ジャンル。このスタイルが今後の撮影シーンを変えてしまうかもしれません。