特集

どれを選べばいい? カメラマンのためのモバイルバッテリー活用法

最新のミラーレスカメラには給電・充電機能が搭載されている。正しくマスターしてバッテリー残量を気にせず長時間撮影にチャレンジしよう。

モバイルバッテリー活用術

モバイルバッテリーがこれからは必須アイテムに

天体撮影やタイムラプス撮影など屋外での長時間撮影や、イベントなどの動画撮影で問題になるのが、どのタイミングでバッテリーを交換するか? だ。「一度撮影をスタートしたらバッテリーの交換ができず不安だった」なんて経験が誰しもあるはず。

こうした悩みに答えてくれるのが、モバイルバッテリーを使用した給電撮影だ。外部から電力を供給できるし、撮影中の交換も簡単。そして内蔵バッテリーより容量が多いため、長時間撮影ができるメリットがあるのだ。

モバイルバッテリーを使って撮影するメリット

モバイルバッテリー活用術
USB Type-Cケーブルでカメラにモバイルバッテリーを接続し、短めのケーブルで済むように三脚にストラップで引っ掛けている。

モバイルバッテリーを利用した撮影には以下のようなメリットがある。

  • 内蔵バッテリーを交換せず長時間撮影できる。
  • 撮影中でもモバイルバッテリーが交換可能。
  • タイムラプス撮影などがさらに長時間可能に。
  • 厳寒の天体撮影でもバッテリー弱りを気にしないで済む。
モバイルバッテリー活用術
給電対応カメラにモバイルバッテリーをつなぐと、図のようなアラート画面が表示され、バッテリーマーク横などにコンセントのマークが追加表示される。
モバイルバッテリー活用術
カメラのバッテリーも、モバイルバッテリーがあればどこでも充電が可能になる。超便利だ。
モバイルバッテリー活用術
最近ではストラップホールのあるモバイルバッテリーが増えている。三脚などにぶら下げて使用できるようになる。

快適に撮影するためのポイントは「PD対応」

モバイルバッテリーを有効かつ安全に使用するポイントを理解して、バッテリー切れの心配をせず撮影に集中できる環境を手に入れてほしい。そのために重要なキーワードが「PD対応」だ。①PD機能対応のカメラ ②PD対応モバイルバッテリー ③PD対応ケーブル ④PD対応充電器、以上4つが必要になることを覚えておこう。

PDって何? モバイルバッテリーのロゴに注目

モバイルバッテリーのUSB端子などにロゴが記載されていることがある。これらがあれば電力供給が可能、そして急速充電に対応していると考えていい。今後よく見かけるようになると思うのでぜひ覚えておきたい。

モバイルバッテリー活用術

モバイルバッテリー活用術

■PD対応

モバイルバッテリー活用術

アップルやGoogleが採用するパワーデリバリー規格の総称が「PD」(USB Power Delivery) だ。読んで字のごとく必要な電力を供給できる機能で、急速充電が可能となる。

■PowerIQ3.0

モバイルバッテリー活用術

モバイルバッテリーメーカーのAnkerが開発した、急速充電のAnker独自規格。

■QC3.0

モバイルバッテリー活用術

「クイックチャージ3.0」と読み、米国Qualcommが開発したモバイル端末を高速充電する規格。

 

モバイルバッテリー活用術

上の写真はすべてPD対応のモバイルバッテリーだが、大きさはまちまち。PD出力が大きく、容量が多ければ、必然的にサイズは大きくなる。カメラメーカーによっては使用できるモバイルバッテリーが指定されている場合があるので、必ず確認しよう。

PD対応ケーブルの同時購入がおすすめ

実は現在モバイルバッテリーや充電器などに同梱されるケーブルはあまり質が良くないものが多い。「本製品はMacBook Proにも対応するPD87W出力が可能なモバイルバッテリーです。ただし同梱のケーブルは60Wまでしか対応しておりませんのでご注意下さい」などという注意書きが平気で書いてあったりする。粗悪品を使用すると最悪、発火しかねないので、ちゃんとしたPD対応のケーブルも購入しておくことをオススメする。「E-markerチップ内蔵」のType-C充電ケーブルなら安心なので、購入の目安にしよう。

モバイルバッテリー活用術

PDに対応した充電器も必要

見落としがちだが、出力の大きなモバイルバッテリーを充電するにはPD対応の充電器が必要となる。PD100W対応USB Type-C端子を持った充電器を購入しよう。

モバイルバッテリー活用術

カメラ側の端子は発売時期によって異なる

現在、カメラによって給電機能に使えるUSB端子には大きく2種類のタイプが存在するので、どちらなのか確認して運用しよう。Type-Cなら問題ないが、少し前のmicro USBタイプは内蔵バッテリーが消耗するため取り扱いに注意が必要だ。

■USB3.0〜3.2 Type-C

モバイルバッテリー活用術

モバイルバッテリーでカメラを稼働させながら、同時にカメラ内の内蔵バッテリーの充電も行なえるタイプ。最新のUSB3.0〜3.2 Type-C端子を採用。

■USB2.0 micro USB Type-B (左)
■micro USB3.0 Type-B (右)

モバイルバッテリー活用術

給電すればカメラは動くが、内蔵バッテリーを同時に使用しながら稼働するタイプ。少し前のmicro USB Type-B端子を採用しているカメラに多い。

モバイルバッテリーを選ぶ基準

モバイルバッテリー購入時は以下の項目に注意すれば、自分に必要な製品が正しく選べるはずだ。

①バッテリーの種類

モバイルバッテリー活用術

リチウムイオン電池かリチウムポリマー電池。リチウムポリマーの方が衝撃に強いとされている。

②急速充電機能

モバイルバッテリー活用術

PD3.0、PowerIQ3.0、QC3.0などに対応していること。

③パススルー機能

モバイルバッテリー活用術

モバイルバッテリー自体を充電しながらスマホやモバイル端末の充電が行なえる機能。

④PD出力W数

モバイルバッテリー活用術

急速充電ができる出力ワット数の表示 。スマホなどならPD25W対応、ノートPCやカメラには大型のPD87W対応などを選んだほうが安心。

⑤PPS機能対応

モバイルバッテリー活用術

モバイルバッテリーや充電器に採用されている最新の機能で、接続する相手に必要な電圧を感知し過充電などを起こさない安全な商品を表す。

ノートPCを充電する場合の注意

最近は給電・充電可能なUSB3.1 Type-C端子を装備したノートPCも増えてきている。ただし、ここで重要なのは、ノートPCの充電には通常のAC電源からの充電に使うワット数以上のPD出力を持ったモバイルバッテリーが必要になるということ。例えば「MacBook」なら65W。「MacBook Pro」なら87W以上の製品が必要となる。これを下回ると効率が悪くなるので注意しよう。

モバイルバッテリー活用術
PCのPD対応のType-C端子には必ずコンセントのマークが付いているので、対応する端子を確認しておこう。付いていないものは非対応となる。

森脇カメラマンおすすめのモバイルバッテリー

最後に、現在人気のモバイルバッテリーを紹介する。すべてPD機能に対応しており、PD出力の異なるものを掲載している。

■大きめのスマホに PD25W

Anker PowerCore 10000 PD Redux PD25W (参考価格 3,990円)

モバイルバッテリー活用術

■カードサイズながらタブレットPCも充電可能 PD30W

CIO SMARTCOBY Pro 30W (参考価格 4,378円)

モバイルバッテリー活用術

■余裕の高出力 PD100W

EASYLONGER USB PD100W 26800mAh (参考価格 8,499円)

モバイルバッテリー活用術

 

※参考価格は記事執筆時点の量販店価格 (税込) です。