特集

CAPA月例フォトコン学生の部 2021年2月号ピックアップ作品レビュー

ここからは、惜しくも選外となった作品の中から、鶴巻育子先生が気になった作品をピックアップしてアドバイスします。

光のレール

吉田有輝 (岐阜県関市 / 17歳 / 関市立関商工高等学校 / 写真部)

光のレール
キヤノン EOS RP RF35mm F1.8 MACRO IS STM 絞りF6.3 1/320秒 ISO100 WB : オート (撮影地 : 愛知県名古屋市)

天井の枠組みの影をレールにたとえたタイトルによって、作品に深みやユーモアを与える効果が出ています。画面内にさまざまなラインが散りばめられていますが、整理された構図でそれぞれのラインが生かさていますし、点景として人物が入ったことで全体が引き締まりました。

さらに目を引く作品にするとしたら、あまり説明的にならないようにする手もあります。画面上の壁の部分は入れず通路だけで構成し、あえて奥行きをなくすことでラインやフォルムをさらに際立たせる方法もありますね。

刹那

廣瀬楓彩 (東京都千代田区 / 杉並学院 / 18歳)

刹那
キヤノン EOS M3 EF-M18-55mm F3.5-5.6 絞りF8 1/500秒 ISO160

風でなびくスカート、手足の仕草と、一瞬の美しい動きを見事に写し止めています。そして、キラキラした水面や向こう岸の風景が自然と映り込む横位置の構図によって、この場の空気感が伝わってきます。

一歩引いて、彼女の影が少し画面内に写り込むとよかったかなと思いますが、一番気になったのは、コメントです。「制服で写真を撮りに行けて楽しかったです」と撮影時の感想が書かれていましたが、この光景を目にした時に感じたことを書くとより作品の感じ方が変化します。

わいらの日課 (4枚組)

森本羽音 (和歌山県田辺市 / 16歳 / 和歌山県立神島高等学校 / 写真部)

わいらの日課 (4枚組)
キヤノン EOS 9000D EF-S18-55mm 絞りF5.6、F8 1/80秒〜1/1000秒 −0.7補正 ISO200 WB : オート

どのカットも朝の光と影を意識し、市場の賑わいをイキイキと美しく描いています。朝の市場をさまざまな視点やアングルから狙っているので、臨場感も感じられます。

この場に溶け込み、市場の雰囲気を自然に捉えた作者の撮影技術と写真への思いは、並外れたものと感じます。同じ写真部の仲間もこの場所を頻繁に撮影しているようですので、似た作品も見かけます。そこで、森本さんだけがこの場で感じた事柄や視点に絞った、さらに上をいく作品を見てみたいと欲が出てしまいます。

 

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