ここからは、惜しくも選外となった作品の中から、鶴巻育子先生が気になった作品をピックアップしてアドバイスします。
時よ止まれ…
池内菜摘 (香川県坂出市 / 香川県坂出商業高等学校1年 / 写真部)
時計と少女というモチーフから、沢渡朔さんの作品を思い出しました。少女の魔法で時計を浮かべている不思議な写真です。
枯れ草やどんよりした空が広がるシチュエーションの選択が、作者が意図した「時間を止めたい女の子の寂しそうな姿」をより表現することができたと思います。
服装が現実的。衣装にも凝ってみるとさらに面白い作品になったでしょう。
いないないばあ (2枚組)
所澤ひじり (愛知県小牧市 / 16歳 / 愛知県立小牧高等学校 / 写真部)
右の写真は、熊の表情がユニークで曇って水滴がついたガラスのフィルターも面白く作用しています。左の写真は、山のように盛り上がった水面のフォルムと大量の泡の迫力が魅力です。
タイトルを読んでこの2枚の構成に納得いきました。
2枚の組写真は、説明的になりやすいので難しいですね。1枚つず見せると効果的なこともあります。特に左の写真は一見何が写っているかわからないのでとても惹きつけられました。
わたしのローファー (3枚組)
五十嵐千里 (宮城県仙台市 / 宮城県泉高等学校 / 写真部)
側溝やマンホールなど道で見つけたユニークな形を俯瞰で撮影したシリーズ。自分の足を入れることで、作者の存在と視線を感じられます。ローファーという学生ならではの靴選びで、作者の情報を匂わせる効果が出ていて、シリーズとしてのルールを決めたのがよかった点です。
写真によっては、靴がわかりづらかったり、手振れしているものがあったのがもったいないと思いました。また、このような写真は数が多いと面白さが増すので、ぜひ撮りためてみてほしいです。