ここからは、惜しくも選外となった作品の中から、鶴巻育子先生が気になった作品をピックアップしてアドバイスします。
安全に産まれてきてね
池内菜摘 (香川県坂出市 / 16歳 / 香川県立坂出商業高等学校 / 写真部)
偶然出会った妊婦さんを撮影する行為が素晴らしいです。「もうすぐ産まれてくる赤ちゃんと散歩をしている若い女性を撮影しました」と、まだお腹の中にいる赤ちゃんの存在感を出したコメントも素敵です。お腹に触れた手元にお母さんの優しさを感じ、口元で切った構図はさまざまな想像が膨らみました。
光も良く、白い服も奇麗に写した露出もバッチリですが、背景をもう少し整理できていたら更にいい写真になったと思います。
暑い夏 (3枚組)
松本芽和 (愛知県愛西市 / 16歳 / 愛知県立佐屋高等学校 / 写真部)
1枚目は迫力ある雲が印象的。2枚目は大きく傾いた構図にクラクラします。3枚目はグラスの透明感が爽やかです。大胆で力強さを感じる組写真で、どの写真からも夏の暑さ、この季節の部活動の過酷さが伝わってきます。
夏らしい光を強調するためだったのでしょうか。強いシャープネスのプリントが気になりました。画面上では見映えするかもしれませんが、プリントの応募作品で見るときつく感じた美しさに欠ける部分もありました。不自然に見えないプリントを目指しましょう。
秋の実り (4枚組)
髙島孝仁 (福井県越前町 / 17歳 / 福井県立丹生高等学校 / 写真部)
落ちた植物を主役、樹木を背景にとユニークな撮影方法で春夏秋冬を表しています。鏡を用いたことで不思議な距離感が面白く作用しています。それぞれの色合いも工夫されており、鑑賞するのが楽しくなる作品です。
配置の仕方をより工夫し、背景のボケ具合や明るさを統一するなど、細かな調整をすると完成度が上がるでしょう。今後もこのシリーズを続けてほしいです。