ここからは、惜しくも選外となった作品の中から、鶴巻育子先生が気になった作品をピックアップしてアドバイスします。
おばあちゃんの畑
河合理沙 (愛知県田原市 / 16歳 / 愛知県立成章高等学校)
作者の大好きな玉ねぎをおばあちゃんが一生懸命に育ててくれているそうです。素敵なエピソードです。
長く続く玉ねぎの列からかなり広い畑だと気づきました。奥行きを感じる構図と主役の玉ねぎが際立つ低いアングル、よく観察し撮影に工夫が見られます。
玉ねぎをより目立つように撮影した写真も見てみたいと思いました。またこの畑をテーマにさまざまな視点から捉えて組写真として作品づくりをしてみるのはいかがでしょう。
一限前
松川悠悟 (徳島県阿南市 / 16歳 / 徳島県立阿南光高等学校 / 写真部)
雪の日の駐車場の風景を俯瞰で捉えたことで、轍や人の足跡の痕跡が目立ちます。また、画面ほとんどが日陰の中で一部だけ陽が当たり丁度そこにカラフルな車が駐車されている偶然性も面白い風景です。
写真的に魅力ある被写体や場面が数多くありどれも入れたくなる気持ちはわかりますが、画面が散漫になってしまいました。トリミングやアングルの微調整で画面内を整理するとよいでしょう。
春の一日 (5枚組)
河俣杏実 (愛知県岡崎市 / 17歳 / 光ヶ丘女子高等学校 / 写真部)
京都の桜が満開になった日に町の様子をガラス越しにスナップした組写真。ガラスを一枚挟むことで被写体との距離を感じ、これらの情景をそっと見つめている作者の眼差しを感じます。また映り込んだ外の風景が重なり非現実的な雰囲気が加わったのも魅力です。
桜が咲いている風景を入れることで季節感や状況はよくわかりますが、説明的になり過ぎてしまったようです。映り込みの写真のみで構成するほうが、世界観がまとまったと思います。思い切って写真を省く作業をしてみましょう。