ここからは、惜しくも選外となった作品の中から、鶴巻育子先生が気になった作品をピックアップしてアドバイスします。
突き抜ける
稲垣咲希 (愛知県春日井市 / 16歳 / 愛知県立小牧南高等学校)
高速シャッタースピードで、ペットボトルから飛び出した水を捉えています。昇龍とまではいきませんが、生き物のようにも見えてきます。薄い水色にモコモコした雲が浮かぶ爽やかな背景もいい演出になりました。
もう一つインパクトが欲しかった。アングルだったり、人物の切り取り方だったり、上下逆さにしてしまったり……、ちょっとした工夫や遊び心を加えてみましょう。
WARASHI
渥美満優子 (愛知県豊川市 / 豊川高等学校2年 / 写真部)
「童子は訳もなく走り、笑い、そして飛び跳ねる生き物です」と、言い切る作者の解説に納得です。
元気よく飛び跳ねる子どものシルエット。髪の毛と手の表情が特徴的で、ユニークなフォルムが妖怪のような雰囲気を醸し出しています。ローアングルによって、逆光を受けた手前の草の色が映え、青空とのコントラストで爽やかな雰囲気に。さらにシルエットがより映える結果となりました。
やや窮屈な感じがしました。もう少し広角で広々した空間に子どもを配置する手もあったでしょう。
手を上げろ
伊藤 帝 (愛知県豊田市 / 16歳 / 愛知県立猿投農林高等学校)
子どもがピストル2丁を持って男性2人に向けていますが、全く貫禄がないところが可愛らしい。ちょうど子どもにかぶった撮影者の影もアクセントになっています。よく見ると背後に人影があり、その偶然によってストーリー性が出たのも面白いところ。
大人の顔を画面に収めずに切ってしまう手もありました。それによって見る側の想像が膨らんだと思います。切り取り方で、現実と違う物語を作れてしまうのも写真の魅力です。