ここからは、惜しくも選外となった作品の中から、鶴巻育子先生が気になった作品をピックアップしてアドバイスします。
ちょっと一服
村野那緒 (神奈川県川崎市宮前区 / 16歳 / 神奈川県立川崎北高等学校 / 写真部)
メニューの紙に埋もれたお店のユニークさがモノクロ表現によって際立ちました。タイトルからすると、手前の男性を主役に考えた構成と見られますが、実は作者もこの昔ながらのお店に興味を持ったような気がします。人物を入れることで一見物語性は生まれますが、お店だけをフレームに収めるだけでも時代の流れや「今」が表現されたと思います。
HAMIGAKI
泰地彩央 (和歌山県田辺市 / 17歳 / 和歌山県立神島高等学校 / 写真部)
作者のお父さんだそうですが、カメラ慣れしているのか、いい表情を作って歯磨きをしています。このお父さんのキャラクターだけで十分なインパクトがありますが、せっかくの網戸越しというシチュエーションを生かして、網戸の存在をもっと出しても面白かったでしょう。
憧憬 (4枚組)
丸山世梨加 (和歌山県田辺市 / 16歳 / 和歌山県立神島高等学校 / 写真部)
元卓球部の作者が憧れの気持ちを込めて撮影した作品。撮影する被写体に興味があったり詳しかったりすることで、気持ちも入りますし、いい瞬間が捉えられるものですね。特に、右端と左端の寄りの2枚は、背景がシンプルで造形的な魅力もあり、緊張感も感じられ目に留まりました。中央2枚は、練習風景として良く写っていますが、どちらかの表現方法でまとめると良かったと思います。