ドイツ・ハンブルクで、撮影機材ショー「PHOTOPIA Hamburg (フォトピア・ハンブルク)」が開催された。日本からの海外渡航が緩和され始めたタイミングだったことから、CAPA編集部では日本のメディアとして唯一の会場取材を敢行。アフターコロナに向けてヨーロッパのカメラ業界はどう動いていくのか? 熱気溢れる会場の様子をお伝えしよう。
コロナ禍の中でスタートした「フォトピア・ハンブルク」
「フォトピア・ハンブルク」は2022年10月13日〜16日の4日間、ドイツのハンブルクメッセを会場に開催された。2021年から始まったフォトイベントで、今年が2回目になる。
ドイツといえば、ケルンで開催されていた「フォトキナ」がフォトイベントとしてはあまりにも有名だが、コロナ禍の影響などから2022年の開催を断念。2018年を最後に、70年の歴史の幕を閉じることとなった。それに代わるように登場したのが、「フォトピア・ハンブルク」だ。
ハンブルクにはドイツ最大規模の新聞社をはじめ、多くの雑誌社や放送局が拠点を置くメディアの中心地。また、ドイツ最大の港を有する後衛基地でもある。しかし日本にいると、海外の写真事情はなかなか伝わってこない。アフターコロナ、ポストフォトキナとしてのフォトイベントがどういうものかを知るには、実際に会場へ行くしかない。ちょうど日本からの渡航制限が緩やかになったことも取材を後押しした。
ハンブルクの港をイメージしてコンテナを使ってディスプレイ
ハンブルクへは、フランクフルトから電車で4時間ほど北に向かって走る。途中、ケルンを通過するのが何とも感慨深い。厳しい寒さを覚悟していたが、気候は東京並み。コートがじゃまになるほどだ。
会場には、メッセの展示ホールが2つ使われていた。2回目の開催ということや景気の低迷などから、出展を控えている企業もあるそうだが、来年は3ホールでの開催となるとのこと。
会場内には、コンテナがあちこちに積み上げられている。ハンブルクの港をイメージしたもので、数は350基。色も揃えて配置されている。コンテナは間仕切りとしてだけでなく、展示スペースやブースの一部、撮影スポットとしても利用されていて、会場を立体的に構成するパーツになっている。
ブースが小さくても狭く感じないとか、いろいろな場所で撮影が楽しめるなど、カメラを持って歩き回っていても飽させない会場になっている。ショップの出展もあって、カメラバッグやフィルターなどを購入することができた。中古カメラやフィルムを扱う店もある。
コンテナの壁を降りてくるアトラクションのほか、駐車場の一角にはバスケットシーンを撮影できるスペースが設置されるなど、動画向けに動きのある被写体や撮影シーンが設けられていた。
各ブースを写真でレポート!
まだまだ発展途上にある「フォトピア・ハンブルク」次回は2023年9月開催
目立った新製品がなかったこともあり、機材目当てではなく撮影や作品鑑賞を楽しみに来ている人が多そうだった。女性の来場者も目立っていて、カメラの有無に関係なくバックパックスタイルが主流のようだった。
一般向けのイベントということで、フォトキナのような商談スペースもなければプレスルームもない。コロナ対策だろうか、紙のカタログやチラシ類はほとんど見かけなかった。ちなみにEUでは、公共交通機関の乗車時だけマスク着用の義務があった。
長い歴史のあるフォトキナとは比べようもないが、勢いのあるフォトイベントであることは間違いない。ここからどう成長していくのかが楽しみでもある。次回の開催は2023年9月21日〜24日を予定している。
※2022年の「フォトピア・ハンブルク」出展社数は82社、来場者は1万人以上であったことが発表されている。
本レポートは『CAPA』2022年12月号掲載の記事をWEB用に再構成したものです。