ここからは、惜しくも選外となった作品の中から、公文健太郎先生が気になった作品をピックアップしてアドバイスします。
職人
山岡 楓 (愛知県豊田市 / 15歳 / 愛知県立猿投農林高等学校 / 写真部)
職人さんを撮ることに挑戦したとのこと。ナイスチャレンジです。一つコツがあるとすれば、まずは良い光を探しましょう。職人さんの作業を紹介するのではなく、年季の入った熟練の技が醸し出す雰囲気が伝わる写真が撮れる、かもしれません。横から見るのか、前から見るのか、よく探してみましょう。表情と手元がきっちりと見えることだけが良いとも限りません。チャレンジを続けてください。楽しみにしています。
祖母
竹本紘子 (三重県志摩市 / 17歳 / 皇學館高等学校 / 写真部)
モノクロフィルムでの撮影のようです。フィルム写真は独特雰囲気が出るだけではなく、デジタルカメラのようにパチパチと気軽に撮ることができません。だからこそ一枚を大切にできます。まっすぐな写真ですが、心がこもっているなと感じました。写真は目で見ているもの、心で感じていることをカメラの力を借りて写し取るものです。フイルムで撮ったり、マニュアルで撮ってみるというチャレンジは、一つの表現につながると思います。
野望 (3枚組)
稲田莉子 (和歌山県田辺市 / 16歳 / 和歌山県立神島高等学校 / 写真部)
妹さんをモデルにしての撮影。とても良い雰囲気をもってますが、すこし演じさせ過ぎてしまったように感じます。かっこいいのですが、もっと内面が映るといいなと思います。2枚目の写真では髪を大きく振っていますが、微かに見える表情がクールではなく固まって見えます。友人をモデルとする作品も多くありますが、演じるというのは写真を撮る以上に難しいものです。モデルさんの「らしさ」を引き出すために、一度、自分の中の「こう写したい」を捨ててみましょう。
またいつか (3枚組)
森本羽音 (和歌山県田辺市 / 17歳 / 和歌山県立神島高等学校 / 写真部)
組写真は1枚1枚の出来栄えに加え、写真同士の相互作用を考えなければいけません。1枚目が2枚目につながっているだけではなく、その逆も成り立つことに加え、2枚同時、3枚同時に見てもそれぞれが必要な写真であるべきです。大切なことは「どの写真も欠かすことができないかどうか」考えることです。2枚目、3枚目の写真が単体としてはとても良かっただけに、組写真としては少し劣って見えました。