各社ともに充実ぶりがめざましいミラーレスカメラのラインアップ。高性能モデルがひしめき合うなかで「これを買えば間違いない」という1台はあるのか? カメラを知りつくしたプロカメラマン、カメラライター5人の採点により各社のBESTカメラを決定しました。その中から、「OM SYSTEM」のBESTカメラを紹介します。
やはりOMの看板モデルOM-1がBESTカメラだ!
【BEST】OM SYSTEM OM-1
AF、連写性能が非常に高く実用性能に優れたBEST機
望遠レンズを小型化しやすいのが、マイクロフォーサーズのメリット。AI被写体認識AFの鳥認識の精度も高く、野鳥撮影ファンの間では定番とも言えるシステムだ。下の写真のように顔が半分隠れていても、しっかり認識してピントを外さない。さらにAF/AE追従50コマ/秒の連写性能をはじめ、防塵防滴、耐低温、ボディ単体で7段、レンズとのシンクロでは最大8段の手ぶれ補正など、写真ファンの実用に即した機能が充実しての高評価だ。
【No.2】OM SYSTEM OM-5
コンパクトなボディに高性能を凝縮した1台
小さくても高性能な製品を作る。それがOMブランドに受け継がれてきた伝統。そのフィロソフィーをもっとも象徴的に体現するのが、OM-5だ。最高性能はOM-1に譲っても、操作性の高い小さなボディに先代フラッグシップと肩を並べる内容が盛り込まれている。また価格も魅力的で手にしやすい。
【No.3】OLYMPUS PEN E-P7
直線的デザインと表現機能がPENの魅力
OM SYSTEMの大看板であるPENシリーズ。その上位モデルがE-P7だ。デザインに優れた上質な作りに加え、プロファイルコントロール機能で、カラーからモノクロまで、好みに合わせたクリエイティブな表現が楽しめる。E-M10 Mark IV同様に単焦点レンズとの組み合わせが楽しい。
【No.4】OLYMPUS OM-D E-M10 Mark IV
レトロスタイルで街スナップや日常の記録に◎
OM-5同様にレトロチックな容姿で、さらにコンパクトなのがE-M10 Mark IV。キットの標準ズームを付けても、ペットボトル飲料よりも軽い475g。手ごろなプレミアム単焦点レンズと組み合わせて、日常的に持ち歩き、街スナップや家族や日々の記録を撮るのにおすすめだ。
キラリと光る機能性で高評価を得たOM-1
新会社となり、3年目を迎えたOM SYSTEM。構成的にはフラッグシップからエントリーモデルまで揃ったOM / OM-DシリーズとPENシリーズの2ライン。現在、リブランド化が進められ、今後はOM SYSTEMブランドへ統一されるだろう。
同社としてトップに立ったOM-1はカメラ全体中では6位だが、並みいるフルサイズ勢や新登場の富士フイルム X-T5を相手に健闘したのは、レンズ活用性、連写、操作性の高得点によるもの。マイクロフォーサーズ規格の特性を生かしたレンズの小型化やラインアップの豊富さなどが支持された。
連写も、シャッターを押す直前が撮れるプロキャプチャー機能など、単なるコマ速度や連続撮影枚数でなく、誰もがチャンスを逃さず撮れる機能性が高評価の要因。操作性においても、1系として5台目にあたり、磨き上がった感が強く、全体的なバランスが認められた。
同社内で次点のOM-5は先代フラッグシップ E-M1 Mark IIIの高機能を凝縮。レンズの活用性が高いのは、近年注力している高画質で防塵防滴を誇るPROレンズシリーズに小型タイプが充実してきたのが、後押ししたのだろう。
〈写真・解説〉桃井一至
■採点・順位決定方法
「BESTカメラ」順位決定方法は以下のとおり。まず現在のカメラに求められる重要6項目について5人が採点し〈性能評価点〉を算出。その点数に、カメラの「お得度」や「購入満足度」などユーザー目線の〈買うべき度〉を掛け合わせた〈総合評価点〉を求め、メーカー内順位を決定した。性能の高さだけでなく「買って間違いない」真のBESTがわかるはずだ。
① 6項目を10点満点で採点。6項目の合計点の5人平均を〈性能評価点〉(A) として表示 (60点満点)。
- 画質
主に低感度の解像性能・階調再現性などを評価 - 高感度
主に高感度の細部描写性能・ノイズの少なさなどを評価 - AF
AFの俊敏さや、被写体認識・追尾機能などを評価 - 連写
主に連写スピードや連続撮影枚数などを評価 - 操作性
EVFやモニターの視認性、ダイヤル・ボタン類の操作性を評価 - 交換レンズ
カメラの性能を十分に引き出す交換レンズの豊富さを評価
② もう1項目〈買うべき度〉を10点満点で採点し、5人の平均を (B)、(A) × (B) を〈総合評価点〉として表示 (600点満点)。この数値の高さでメーカー別BESTカメラを決定した。
■選者
北村智史、鹿野貴司、伊達淳一、藤井智弘、桃井一至 (50音順)
本記事は『CAPA』2月号 (2023年1月20日発売) 巻頭特集の一部を抜粋したものです。キヤノン、ソニー、ニコン、パナソニック、富士フイルム、シグマのBESTカメラと、全メーカーを通して各評価項目の平均点が高かったBESTカメラは『CAPA』2月号でご覧ください。
※参考価格は記事執筆時点の量販店価格 (税込) です。