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高校生が写真展にチャレンジしてみた! 写真選びから展示までをレポート

自分の写真をカタチにしよう!【写真展示編】

写真をプリントする楽しさを実感するこの企画シリーズ。作品集づくりに挑戦した第1弾に続いて、第2弾は「写真を展示してみる」です。2022年の写真甲子園に出場した実力派の高校生たちが、人気写真家の岩倉しおりさんと一緒に、展示作品づくりにチャレンジしました!

自分の写真をカタチにしよう!【写真展示編】
東京都立総合芸術高等学校 写真部1年生の中川哲平さん (左)、2年生で部長の金子野原さん (中央)、1年生の平田栞奈さん (右)。

プリンターを活用して写真展を開こう!

冬休みを利用して集まってくれた、高校写真部の3人組。港区のギャラリー「Nine Gallery」で作品展示を体験してもらいました。講師は写真家の岩倉しおりさん。自身も高校時代は写真部に所属し写真甲子園への出場を目指したことがあるそうで、初対面から話題が盛り上がります。

自分の写真をカタチにしよう!【写真展示編】
自身の展示について説明する岩倉さん。

ギャラリーの一角で岩倉さんの2つの作品展を部分的に再現し、それらの解説からワークショップがスタート。2021年にエプソンスクエア丸の内「エプサイトギャラリー」で展示したのは、余白をたっぷり取った真四角の木製フレームの中央に、浮かぶようにA4サイズの絹目調プリントを配した額装作品。対照的に東京・目黒の「monogram」で2022年末に開催された展示は、約13cm四方の小さなパネルをぎゅっと凝縮させた見せ方。額装による雰囲気の違いや作品構成の考え方、プリント用紙の選び方などを説明してもらいました。

自分の写真をカタチにしよう!【写真展示編】
用紙の違いを知るには、実際に作品に触れるのがいちばん。

その後は、一人ずつ持参した写真を2Lサイズにプリントし、机いっぱいに並べてのセレクト作業です。金子野原さんは、夏休みに親戚の家やその近所で撮影した写真を持参。岩倉さんは、光や色合いの魅力を考慮した組み合わせを提案し、金子さんは、構図が似た写真はどう選べばよいか、など、岩倉さんに悩みを相談しながら構成を考えていきました。

自分の写真をカタチにしよう!【写真展示編】
写真セレクトのために、2L判をたくさんプリント!

森山大道が大好きという中川哲平さんが撮っているのは町のスナップショット。なかでも陰影に着目した写真が面白く、壁に並べた時の流れを意識した4点を岩倉さんと選出。どうしても展示に使いたい別の1点を加え、4枚組+独立した1枚という見せ方にすることに決めました。

平田栞奈さんは、中川さんとは対照的に柔らかな光が生きた作風。何げない日常の中で見つけた瞬間を、6枚の組写真で表現することにしました。

「物」だからわかる良さがある

それぞれの構成が決定したら「エプソン EW-M973A3T」で作品をプリント。あらかじめ用意した5種類の用紙の中から好みの紙を選んで出力し、パネルに仕立てます。そしてギャラリーの白壁にパネルを設置し、最後にスポットライトを当てると……「おおっ!」と歓声が。日ごろPC画面でしか見ない自分の写真が「作品」としての存在感を放った瞬間でした。

自分の写真をカタチにしよう!【写真展示編】
中川哲平さん「大きくプリントしたら自分の写真じゃないみたい」
自分の写真をカタチにしよう!【写真展示編】
金子野原さん「こんな並べ方もあるのかと、勉強になりました!」
自分の写真をカタチにしよう!【写真展示編】
平田栞奈さん「コンテスト応募とは違う選び方が新鮮でした」

高校生は口々に「大きくプリントしたことで新たな発見があった」「壁に展示すると、自分の作品ではないみたい」「写真同士の並びで雰囲気が変わることがわかった」とうれしそう。岩倉さんも「あらためて、プリントや展示の良さに触れることができました。SNSの時代ですが、物としての作品の大切さも伝えていきたいですね」。

写真は周りの人に見てもらってこそ「作品」となるもの。プリントの良さ、あなたも見直してみませんか?

自分の写真をカタチにしよう!【写真展示編】
中川哲平さんの作品
自分の写真をカタチにしよう!【写真展示編】
平田栞奈さんの作品
自分の写真をカタチにしよう!【写真展示編】
金子野原さんの作品

自分の写真をカタチにしよう!【写真展示編】

写真展の作品づくりに使ったのはコレ!

エプソン EW-M973A3T

自分の写真をカタチにしよう!【写真展示編】
[サイズ] 523×379×169mm (収納時) [重さ] 約11.1kg

フォトブラック・シアン・マゼンタ・イエローに加え、マットブラック・グレーの6色インクで高画質な写真印刷を実現。インクはエコタンク方式のため、大量印刷してもコストを安く抑えられる。A3ノビサイズまで対応しており、フォトコンテストや写真展などで大きめにプリントしたい写真部活動にもマッチする。

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バラエティに富んだ写真用紙で個性を出す

自分の写真をカタチにしよう!【写真展示編】
上段左から「写真用紙 <光沢>」「写真用紙クリスピア <高光沢>」、下段左から「写真用紙 <絹目調>」「フォトマット紙」「Velvet Fine Art Paper」

用紙は、高画質ながら普段使いに適した「写真用紙 <光沢>」 を始め、光沢度が高くフォトコンテストにも適した「写真用紙クリスピア <高光沢>」、落ち着いた雰囲気が出せる「写真用紙 <絹目調>」、光沢を抑えた「フォトマット紙」、画用紙のような質感重視の「Velvet Fine Art Paper」の5種類から、表現に合わせてチョイスした。

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岩倉しおりがズバリ解決! お悩み相談室

Q. モデルの気持ちを盛り上げる撮影のコツは?

友人をモデルに撮影しています。岩倉さんが人を撮る時に心掛けていることを教えてください。

A. モデルさんあっての作品だという気持ちを忘れずに

私は人物をメインに撮影することはあまりなく、モデルさんを風景に溶け込ませる場合が多いです。撮影は深夜から始まり朝日を迎えるまでの、ほとんどの人が眠りについている時間帯です。そのため、気分を盛り上げるというよりは同じ光景を見て感動できる、そんな感性をもったモデルさんと撮影に出掛けています。「カメラマンとモデル」というような関係性ではなく、「一緒に素敵な光景を見に行こう」という感じです。

また、寒い場所や水辺での撮影では、こちらで防寒着や長靴などを用意することは当たり前に大切だと思っています。モデルさんあっての作品だという気持ちをいつも忘れないようにしています。

Q. 「自分らしさ」がわかりません!

「あなたらしい写真だね」と先生や友人に言われることがありますが、自分らしさって自分ではよくわかりません。どうしたらわかりますか?

A. 自分の「好き」を追求することが大切!

「自分らしさ」って確かに難しいですね。私も自分自身の写真に対して、今でも自分らしさがわからなかったり個性がないことに悩んだりします。でも、見てくれる方が「あなたらしい」と思うということは、個性があるということなんだと思います。

私も「岩倉さんの写真は見ればすぐにわかる」など嬉しいメッセージをいただいたことがあります。なので、そこはあまり悩まずに自分の「好き」を追求していくことのほうが大切なのではないでしょうか。自分らしさは、それによって確立されていくものなのだと思います。

Q. 写真の「量」と「質」はどちらが大切ですか?

「たくさんシャッターを切ろう!」「被写体を見極めて!」両方言われますが、岩倉さんは「量」と「質」はどちらが大切だと思いますか。

A. 無理をせずに自分の引かれるままに撮ろう

量も質もどちらも大切。それは場面によっても変わってくると思います。私の場合は、撮りたい光景に出会うと反射的に流れるように撮影していきます。反対に撮りたいと思わなければ全くシャッターは切りません。撮影に出掛けたからといって無理に撮ろうとする必要はありません。

自分の引かれるままに撮るのが一番楽しいし、好きな写真が撮れると思います。刻々と変わる時間や光。そんな光景にときめいたら、私は時間を忘れてシャッターを切ります。

→ 作品づくりに役立つ情報や写真プリントを仕上げるためのテクニックをご紹介! エプソンのフォトポータル

 

自分の写真をカタチにしよう!【写真展示編】

岩倉しおり

香川県生まれ。CDジャケットや書籍のカバー、広告写真などを手掛ける。「青色」をテーマに、おもにフィルムで撮影した人物や風景写真がSNSで人気を博す。写真集に『さよならは青色』(KADOKAWA)。写真展も多数開催。
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〈協力〉エプソン販売株式会社