ここからは、惜しくも選外となった作品の中から、公文健太郎先生が気になった作品をピックアップしてアドバイスします。
背中から感じる
乾 颯真 (愛知県小牧市 / 16歳 / 愛知県立小牧高等学校 / 写真部)
クリスマスの日、大雪で乱れたダイヤの中、無事に出発した電車を見送った駅員さんとのこと。ストーリーがしっかりあり、写真にそれが込められており良かったです。少し残念なのはちょっと寄りすぎてしまったこと。もう少しこの駅員さんの背中や、足の動きで表現できることがあったかもしれません。
真心 (4枚組)
越本悠里 (和歌山県田辺市 / 18歳 / 和歌山県立神島高校 / 写真部)
梅干しを干す農家さんを撮った組写真。プラスチックのトレー、梅そのもの、ビニール手袋、それぞれ質感が違うものが登場し、単に作業を追っただけになっていないところが良かったです。ただ光が同じなのでどうしても単調に見えてしまいます。梅干しに光が当たっているところや、暗い納屋の様子などが少し入るだけで、この作業に時間経過が見えてより深くなったと思います。
レンズの向こう
杉浦凌汰 (愛知県豊川市 / 豊川高等学校 / 写真部)
工事現場での撮影風景。カメラを構える先で起こっている様子がものすごくフォトジェニックなだけに、カメラを入れてしまったのが残念です。撮っていることは写真を見ればわかりますし、もっと言えばその方が撮影者の高揚感も伝わります。それが写真の面白さです。良いシチュエーションに出会っているので次に期待です。
間奏
細井 煌 (愛知県豊川市 / 豊川高等学校 / 写真部)
トロンボーンを構える少女。超ローアングルからの画角が面白いのと、スッと立った演奏者の凛とした空気感が伝わってきます。もう一つの魅力は金管楽器の反射です。ぐにゃっと曲がった金属の面に映り込む世界に目がいきます。映り込みがちょっと寂しいのが少し残念です。周りの演奏者かな、観客かな、と感じられるとより臨場感が出たのではないでしょうか。