ここからは、惜しくも選外となった作品の中から、公文健太郎先生が気になった作品をピックアップしてアドバイスします。
笑ってください
山本知佳 (福井県越前町 / 17歳 / 福井県立丹生高等学校 / 写真部)
勇気を持って話しかけて撮影させてもらったとのことですが、ここで大切なのは女性の笑顔は自然体のものではなく、撮影者との距離を感じる笑顔が写っているということ。ちょっとどう微笑んで良いのか、そんな不安も感じさせるからこそ、可愛らしく、愛おしく感じます。決して最高の笑顔が引き出せなくても、このあなたとの距離というのが大切です。これからもどんどん声をかけて撮ってみましょう。
僕の夏の思い出 (3枚組)
矢澤悠汰 (新潟県長岡市 / 16歳 / 中越高等学校)
夏休み。クワガタと仲良くなったの? と感じさせてくれるくれるところが面白いです。クワガタとの共作とでもいうのでしょうか。今回2席に選ばれた杉山湊音さんや、入選に選ばれた植野さくらさんの組写真を参考にしてみてください。組写真のストーリーの中に主人公がいるとしたら、主人公だけを写すのではなく、主人公の感情や、主人公が感じているその場の匂いや音が伝わる写真を入れてみましょう。
目 (2枚組)
谷渕瑛介 (愛媛県伊予市 / 17歳 / 愛媛県立伊予農業高等学校)
目の構造は鏡で見るととても不思議ですよね。明るさに応じて瞳孔が開いたり閉じたり、一言で白目といってもたくさんの血管が走っていたり。この目の不思議を、手の中に握られた何かのチューブに擬えたのでしょう。複雑な手のしわや形は白目や黒目と同じように不思議な質感を持っています。でも、肝心の目の中心は、置き換えるとするとチューブで良かったのでしょうか? 対比する場合、ただ見た目が似ているだけではなく、機能面まで掘り下げて考えてみると、より面白くなると思います。