ここからは、惜しくも選外となった作品の中から、公文健太郎先生が気になった作品をピックアップしてアドバイスします。
消えないで (3枚組)
伊藤芽生 (愛知県犬山市 / 17歳 / 愛知県立小牧南高等学校)
窓辺に座り、無邪気に遊ぶ少女。夕方の美しい光は人物に当たっているだけではなく、ガラスを写し込むことで反射と透過が活かされ、絵にアクセントを与えています。残念なのはこれを組写真にしてしまったこと。どうしても同じシチュエーションが写っているので連続写真のように見えてしました。2枚めの写真1枚だけでも十分に良い写真でした。
寒桜咲く (4枚組)
杉浦凜香 (愛知県岡崎市 / 光ヶ丘女子高等学校 / 写真部)
満開の桜に沸く昼下がり。人々の心も軽くなり、浮き足立った感じが1枚めに出ています。白い衣装が風になびき、素足が艶かしく写っています。この写真も4枚の組写真にしたことで弱くなってしまったと思います。組写真であれば、やはりどの写真にもこの1枚めのような完成度が求められます。少し気の抜けた写真が入ると、全体の印象ももったいないと感じてしまいます。
襲撃
杉山湊音 (愛知県豊川市 / 豊川高等学校 / 写真部)
壁のデザインを用いてストーリーを描いています。ワイドレンズの使い方、構図と完成度が高く、一見とても目を引くのですが、どうしてもこのデザインに写真が持っていかれ過ぎてしまいます。この絵をデザインした人の思うつぼ？ というのでしょうか、写真よりもデザインに目がいってしまいます。こういった写真を撮るときには、なるべくデザインが前に出ないように心がけ、「自分の」作品にしましょう。
波動拳
中野汐彩 (愛知県犬山市 / 17歳 / 愛知県立小牧南高等学校)
手押し相撲に熱中する2人の少女。差し込む光が放課後の和やかな時間を表現してくれています。力が入り過ぎず、画角がすごく自然であるからこそ、すっとこの時間の流れに見る人が入り込めます。せっかくの光なので、もう少し絞りを絞ってシャドー部を落とし、光の明暗を際立たせてもよかったのかもしれません。心ゆるす友達が被写体なのですから、露出、構図、タイミング、いろいろ試してみてベストを選べると良いと思います。