写真で表現する楽しみ、プリントして伝える喜びを、プロ写真家と高校生たちが実現していく大型プロジェクトがスタート! 講師に鉄道写真家の中井精也さんを迎え、高校生たちが11月の文化祭での写真展開催を目指します。
- 特別授業で初めての鉄道写真に挑戦!
- ベストな写真のセレクト方法は?
- 写真を作品に仕上げて展示しよう!
今回訪れたのは、埼玉県立秩父農工科学高等学校写真部。鉄道写真は見るのも撮るのも初めてという写真部員たち。さあ、一体どうなる!? その道のりを、全3回でレポートします。第1回は「鉄道写真を撮ってみる!」編。特別授業の様子をご覧ください!
【1時限目】鉄道写真って何……? その魅力に高校生たちが開眼!
まずは教室で、中井さんによるレクチャー開始。「中井精也さんって、あの中井さん?」「鉄道写真? 撮ったことないなぁ」。一体、何が始まるの? 戸惑い顔の生徒たちに、中井さんは「百聞は一見に如かず」とばかりに、まずは自身の作品を次々とスライドで披露した。生徒たちに驚きの表情が広がっていく。「思っていた鉄道写真と違う」「写真、撮りたくなってきた!」。
「ねっ? 写真って、こんなに自由なんです。感動を伝えるために、何を、どう撮るか。それを考えればいい」。いつの間にか、中井さんの話に皆が釘付けに。また、事前に皆に提出してもらった作品をプリントし、中井さんが「伝わる」と感じた写真をいくつか講評してもらった。
作品解説、構図や撮り方などの基本的な講義の後は、近くの線路沿いで行なう「流し撮り」実習の説明があった。スローシャッターを切れるように持参のカメラを設定し、試し撮り。皆テンションが上がって、実習が楽しみになってきたようだ。
【2時限目】とにかく流し撮りに挑戦!
学校は秩父鉄道の沿線にある。10分ほど歩くと、セメント工場への引き込み線のある、大きな踏切に出る。交通量の少ない線路沿いの道に部員たちがずらりと並び、ここで流し撮りの実習をすることになった。
ここへ来る前に、走る中井さんを列車に見立ててレンズで追いながら連写の練習も済ませた。うまく撮れれば、被写体は止まり、背景が流れて写るはずだ。
時刻表によれば、この線路端で待っていれば、何本か列車が通った後に、SLが通るはず。皆、列車が通るたびに真剣にカメラを向ける。「撮れた!」「ダメだぁ」などと隣の人とモニターを見せ合う。「次、SL来るよ!」中井さんのアナウンスで、皆が待ち構えた。
撮った写真をプリントしてみた!
プリンターは「エプソン EW-M973A3T」を使用。「エプソン 写真用紙<光沢>」のA3サイズでプリントした。
■中井精也さんの作品
実習ではみんなで並んで流し撮り! うまく流せたかな?
■生徒の作品より
【3時限目】「鉄道のある風景」を撮ってみよう
午後は希望者のみ、中井さんとバスに乗って秩父鉄道の鉄橋が見える有名撮影スポットの河川敷へ。道中も、中井さんによる講義は続く。絞りとシャッタースピードの関係とは。これまでプログラムオートで撮ることが多かった生徒たちに「伝わる写真」を撮るためのテクニックを説明する。伝わったかな……?
河川敷では「ここでは自由に撮ろう!」と中井さん。川下りを楽しむ人たちに手を振ったり、大きな岩に寝そべってカメラを構えたり。好天の下、開放感を楽しみながら、にぎやかに、また黙々と、それぞれ撮影に没頭する姿があった。
撮った写真をプリントしてみた!
■生徒の作品より
【4時限目】今日の成果を確かめよう!
再び教室に戻った一行。何人かの生徒たちに、今日一日で撮影したお気に入りの作品をプリントしてもらい、中井さんがそれを講評した。皆、流し撮りや鉄橋の風景など、中井さんに教わったことをしっかり実践しつつ、友人やその場にいた人たちなども取り入れて、今日の出来事をしっかり記録していた。
最後に、中井さんも今日のベストカットをプリントで公開。河川敷の小さな水たまりを利用して、雲の表情とSLを写した、詩情あふれる表現に、皆「あの場所で!?」と驚き、あらためて鉄道写真の醍醐味を感じた様子。「すごく楽しかった。今まで知らなかったことを学べた」「今日教わったことを、これから撮る写真に生かしたい」前向きな意見があふれる講義となった。
撮った写真をプリントしてみた!
■中井精也さんの作品
荒川橋りょうではSLパレオエクスプレスを撮影。水鏡で幻想的に。
■講評作品より
一日を終えて……
朝の緊張感はどこへやら、中井さんの明るいキャラクター、そして作品の魅力や、自由な考え方に高校生たちも引きつけられ、帰り際には笑顔があふれていた。これから文化祭での展示に向け、第2回目の講義では作品セレクトを行なう。写真部員たちは、今日の教えを胸に、果たしてどんな作品を撮ってくるのか!? 次回もお楽しみに!
この授業で使用したプリンター
高品質を低コストで! エプソン EW-M973A3T
A3ノビ対応で、カラーインク4色 (CMY+グレー) に加え、顔料と染料2種類のブラックインクによる豊かな階調描写が特徴。インクはエコタンク方式で、低印刷コストなのでインク代を気にせずプリントを楽しめます。写真部の活動にはぴったり!
中井精也 (Seiya Nakai)
1967年、東京生まれ。鉄道の車両だけにこだわらず、鉄道にかかわるすべてのものを被写体として独自の視点で鉄道を撮影し、「1日1鉄!」や「ゆる鉄」など新しい鉄道写真のジャンルを生み出した。2004年春から毎日1枚必ず鉄道写真を撮影するブログ「1日1鉄!」を継続中。広告、雑誌写真の撮影のほか、講演やテレビ出演など幅広く活動している。全国を旅しながら自身の作品を販売する「ゆる鉄画廊NOMAD」を展開中。
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埼玉県立秩父農工科学高等学校
明治33年 (1900年)「秩父郡立乙種農業学校」として創立。農業・工業・家庭科の3学部7学科に分かれ、専門分野について学べる県立職業高等学校。写真部は部員約40名。秩父市とのコラボ写真展など、活発な活動を行なっている。
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次回は「セレクト編」の予定です。お楽しみに!
〈協力〉エプソン販売株式会社