ここからは、惜しくも選外となった作品の中から、公文健太郎先生が気になった作品をピックアップしてアドバイスします。
夢中になって (4枚組)
鈴木杏菜 (愛知県豊川市 / 豊川高等学校 / 写真部)
潮干狩りをテーマにした組写真。単調になりがちなテーマですが、目線を変えて変化をつけ、最後の写真で潮が満ちて楽しい時間が終わりを告げる寂しさも表現されていて、とても良いと思いました。残念なのは、トーンがバラバラなことです。最初と最後の2枚と間の2枚のトーンが違いすぎて、二つの作品を見ているように感じてしまいます。モノクロはトーンを意識してプリントしましょう。
剣道一直線
池田 遙 (岐阜県関市 / 16歳 / 関市立関商工高等学校 / 写真部)
剣道の師範の立ち姿。真っ直ぐに伸びる竹刀の先がこの人の芯の強さを表現しているようです。惜しかったのは表情です。少し照れが入っていて、ゆるさを感じます。撮るこちら側も、良い緊張感を持って、前に立ちましょう。すると師範の顔にもきっといい緊張感が生まれたでしょう。
整列
小澤雅史 (愛知県愛西市 / 17歳 / 愛知県立津島高等学校 / 写真部)
散歩でもしているのでしょうか。ひょこひょこと連なっていて可愛いですね。ちょうど顔の方向がバラバラで、うまく重ならずに並んだのも良かったです。もう少し後ろの方までピントが来ると良かったです。焦点距離の長いレンズはどうしても被写界深度が浅くなりがちです。望遠域を使用する時は、絞り値を慎重に選びましょう。
今日も明日も (4枚組)
鈴木月渚 (和歌山県田辺市 / 16歳 / 和歌山県立神島高校 / 写真部)
そら豆農家でしょうか。冬の風に折られないように、丁寧にネットに枝を絡めています。この組写真は4枚目がとにかく良いのです。そら豆農家であることや、どんな作業をしているのかが伝わらなくても、この一枚が多くのことを物語ってくれます。カサカサに乾いた肌、風で乱れた髪の毛、指先のひび割れ。長年の苦労がしっかりと写っています。その一方でハーハーと息をかけ、手を温める表情の可愛らしさがあります。この1枚のみで勝負してほしかったです。