ここからは、惜しくも選外となった作品の中から、公文健太郎先生が気になった作品をピックアップしてアドバイスします。
最高の仲間
鈴木杏奈 (愛知県豊川市 / 豊川高等学校 / 写真部)
祭りに集まる仲間がテーマとのこと。撮影された本人もこのチームの一因なのでしょうか? 友情の表現としてももちろんですが、時代が写っているなと感じられるところも良いです。ただ、テーマが仲間だとすると、やはりここに映る全員を等価に扱って写してほしかったです。手前に来ている男性だけではなく、後ろのメンバーにまでしっかりとピントが来ていればさらに面白い作品になったと思います。
パラソムニア (4枚組)
萩原 律 (和歌山県田辺市 / 17歳 / 和歌山県立神島高校 / 写真部)
夕暮れの散歩。傾く夕日に照らし出された風景はどこか現実離れしているようで魅了されました。日が傾くことで、色も、物の大きさもデフォルメされて写っていて、不思議と見入ってしまいます。特に2枚目の教会は、人の気配がなく、箱のような建物がぽっかりと浮き上がるように佇んでいて素敵でした。最後の少年も効いているのですが、表情に撮られていることが見て取れてしまい、それが残念でした。人の表情にはよくよく注意を払ってください。
爽涼
船戸こころ (岐阜県関市 / 17歳 / 関市立関商工高等学校 / 写真部)
少女がまるで水の中に泳ぐ魚のように見えてきます。シャボン玉はよく登場しますが、ここまでやり切ると既視感を裏切ってくれます。残念なのは、仕上げです。彩度が高すぎるせいか顔が赤く転んで、透明感ある少女の自然な表情の魅力が半減してしまいました。カメラの設定なのか、仕上げでのことなのか、彩度の調整はついやりすぎてしまい、麻痺してしまいます。少し上げるだけで十分だったと思います。