特集

【人気写真家・中井精也とめざせ! 町の鉄道写真展】ベストな写真のセレクト方法は?

写真で表現する楽しさやプリントして伝える喜びを、プロ写真家と高校生たちが実現していく大型プロジェクトが進行中。講師に中井精也さんを迎え、高校生たちが11月の文化祭での写真展開催を目指します。第2回は「展示に向けて写真を選ぶ!」編。3か月撮りためた写真を中井さんに見てもらうところから、特別授業の様子をご覧ください!

鉄道写真家・中井精也の特別授業2
中井精也さんと、埼玉県立秩父農工科学高等学校写真部のみなさん。
人気写真家・中井精也とめざせ!町の鉄道写真展

  1. 特別授業で初めての鉄道写真に挑戦!
  2. ベストな写真のセレクト方法は?
  3. 写真を作品に仕上げて展示しよう!

【1時限目】生徒の鉄道写真をフォトレビュー

前回の授業では、中井さん指導のもと、生徒たちが流し撮りや鉄道絶景撮影に挑戦した。鉄道写真のイメージを覆す授業内容に「目からウロコが落ちた」様子だった生徒たち。教えをもとに3か月の間、自分たちなりにイメージをふくらませ、放課後や休日の撮影に励んできた。本日の授業は、まず中井さんが生徒たち全員の写真を講評するところからスタート。

鉄道写真家・中井精也の特別授業2
中井さんが〈料理長〉となって、生徒たちの撮影した〈素材〉をレクチャー形式で〈吟味〉していく。

 

各自が「エプソン EW-M973A3T」で事前にプリントした作品を机に並べる。「プリントして自分の写真を見てみると、モニター画面ではわからなかったことに気づくよね。見せたかったものが思ったより小さくて伝わらなかったり、逆に、雰囲気がよく出ていたり」と中井さん。「この写真で何を見せたかった?」「伝えたかったことがよくわかる写真だね!」などと一人一人の写真と向き合う。

鉄道写真家・中井精也の特別授業2

 

この企画の最終ゴールは、チームごとに組写真を作って展示すること。「これは少しトリミングすると雰囲気が良くなりそう」「この写真が印象的だから、これを中心に組み立てていくといいんじゃない?」など、中井さんからは展示を見据えたアドバイスも次々と飛び出す。生徒たちは中井さんの意見のテンポの良さに圧倒されながらも、必死にメモを取り食らいついていた。

鉄道写真家・中井精也の特別授業2

中井精也さんのフォトレビューからピックアップ!

鉄道写真家・中井精也の特別授業2
中井さん「人物と同時に周辺がしっかり写っていて、作業の様子がよくわかります。出会った場面を的確に捉えています」(撮影 : 萩原玲奈さん)
鉄道写真家・中井精也の特別授業2
中井さん「同じように駅名板を撮影した写真はいくつかありましたが、フレアが写り込んだことで、まぶしい日差しが感じられます」(撮影 : 島田壮貴さん)
鉄道写真家・中井精也の特別授業2
中井さん「とてもいい写真なのですが、真ん中の鉄柱と露出が惜しいですね。今回はトリミングして花の色が出るように少しレタッチしてみます。機会があればぜひ撮り直して」(撮影 : 田代音偉さん)

この授業で使用したプリンター

作品は、エプソンのインクジェットプリンター「EW-M973A3T」でプリントした。

鉄道写真家・中井精也の特別授業2

「エプソン EW-M973A3T」の詳しい情報はこちらからチェック!

【2時限目】テーマの見つけ方と写真のセレクト

2時間目は、実際に写真をセレクトする作業。こうしたチームごとの展示は初めてということもあり、中井さんのリードによって、各班の展示の方向性を作り上げていくことに。

鉄道写真家・中井精也の特別授業2

 

中井さんが、まず机に並んだプリント全体を一望しながら、チームの個性を見出していく。「このチームは、心象的な写真が目を引きますね。さらに、光を生かしていたり、色に着目しているものが多い。『私の見つけた光と色』という方向性で写真を選んでみたらどうかな」。提案しながら、その方向性に沿った写真を次々と選び出していく。

鉄道写真家・中井精也の特別授業2

 

プリントをグループ分けすることでテーマが明確になり、始めは「?」という顔で聞いていた生徒たちも納得の表情に変わり始める。「選んだ写真だけが良くて、ほかの写真がうまくないっていうことじゃないんだよ。文化祭で組写真を作って発表するということは、設定したテーマを、展示を見てくれるお客さんに伝えるということ。だから、テーマ次第で選ぶ写真は変わるんです」。

鉄道写真家・中井精也の特別授業2

 

数多くの中から限られた枚数に自分の写真を絞っていくのは、プロ写真家にとってさえ難しい作業。具体的なテーマを設定する重要性と、それに合わせて写真を選ぶ厳しさを一人一人が実感したようだ。

鉄道写真家・中井精也の特別授業2
チームごとの個性を見出して生徒たちに提案する中井さん。「こんな風に集めてみると、方向性が見えてくるでしょう?」

A班の展示候補作品から

鉄道写真家・中井精也の特別授業2

「A班は、色や光に着目した写真が印象的だったなぁ」と中井さん。生徒たちも「そう意識すると、選ぶ基準ができて意識が変わります!」。特に黄色と水色のコントラストが目立つ作品を軸に、候補写真をセレクトした。

鉄道写真家・中井精也の特別授業2
メインの写真

鉄道写真家・中井精也の特別授業2

B班の展示候補作品から

鉄道写真家・中井精也の特別授業2

中井さんは「B班はこのトンネルみたいな構図の写真がメインになるんじゃない?」と助言。「ほかは青空や濃い緑の鮮やかな風景が多かったから、『秩父の夏』をテーマにしてみては?」。中井さんの提案に「まったく思いつきませんでした!」と今回も目からウロコの生徒たち。

鉄道写真家・中井精也の特別授業2
メインの写真

鉄道写真家・中井精也の特別授業2

【3時限目】試行錯誤! 写真の並べ方

いよいよ各チーム、展示に向けての候補が出揃った。とはいえ、まだまだ枚数としては多すぎる。ここからは生徒たちが実際に展示する写真の組み合わせを考えながら、どれを省くべきか、また落とした中から復活させる写真があるかどうか、検討していく。

鉄道写真家・中井精也の特別授業2

鉄道写真家・中井精也の特別授業2

 

プリントした写真を並べながら、「これとこれは似ているからどちらか一つでいいよね」「この写真好きなんだけど、なんとか入れられないかなぁ」。最初は遠慮ぎみに気遣い合っていた友人とも、積極的な会話が増えていく。目を輝かせながら、右に置くか左に置くかの配置を考えたり、自分が撮った一枚について友人に語ったり。中井さんから提案されたテーマをどうやったら生かせるのかと、試行錯誤の時間が続く。

鉄道写真家・中井精也の特別授業2

鉄道写真家・中井精也の特別授業2

鉄道写真家・中井精也の特別授業2

 

チームごとに大体の形ができたところで、本日はタイムアップ!「具体的に考えることで、どんな写真が加わるとさらに良い展示になるか、わかってきたチームもあったと思います。文化祭まではまだ時間があります。さらに追加で撮影して入れ替えることも考えてみて」と中井さん。次回、最終回に向けての宿題が見えてきた!

鉄道写真家・中井精也の特別授業2

鉄道写真家・中井精也の特別授業2

鉄道写真家・中井精也の特別授業2

この授業で使用したプリンター

インク切れの心配が少なく高品質プリント! エプソン EW-M973A3T

インクは大容量のエコタンク方式。人数の多い写真部の生徒たちが撮影した写真を数多く印刷しても、インク切れの心配が少なくプリントできた。カラーインク4色 (CMY +グレー) に加え、顔料と染料2種類のブラックインクによる豊かな階調描写で、撮影時の気持ちまでよみがえる高画質。

鉄道写真家・中井精也の特別授業2

「エプソン EW-M973A3T」の詳しい情報はこちらからチェック!

 

鉄道写真家・中井精也の特別授業2

中井精也 (Seiya Nakai)

1967年、東京生まれ。鉄道の車両だけにこだわらず、鉄道にかかわるすべてのものを被写体として独自の視点で鉄道を撮影し、「1日1鉄!」や「ゆる鉄」など新しい鉄道写真のジャンルを生み出した。2004年春から毎日1枚必ず鉄道写真を撮影するブログ「1日1鉄!」を継続中。広告、雑誌写真の撮影のほか、講演やテレビ出演など幅広く活動している。全国を旅しながら自身の作品を販売する「ゆる鉄画廊NOMAD」を展開中。
→ 1日1鉄!
→ X (旧Twitter)
→ Instagram
→ YouTube

鉄道写真家・中井精也の特別授業2

埼玉県立秩父農工科学高等学校

明治33年 (1900年)「秩父郡立乙種農業学校」として創立。農業・工業・家庭科の3学部7学科に分かれ、専門分野について学べる県立職業高等学校。写真部は部員約40名。秩父市とのコラボ写真展など、活発な活動を行なっている。
→ WEBサイト

 

次回はいよいよ「展示編」です。お楽しみに!

 

〈協力〉エプソン販売株式会社