鉄道写真家の中井精也さんを講師として、高校生たちが自分の写真をプリントする楽しさ、人に伝える喜びを体感しながら展示制作していく本企画。いよいよ発表の場である文化祭を目前に、準備も大詰めです! 特別授業の様子をご覧ください。
- 特別授業で初めての鉄道写真に挑戦!
- ベストな写真のセレクト方法は?
- 写真を作品に仕上げて展示しよう!
【1時限目】展示スペースに合わせて順番を決める
前回の授業ではチームに分かれ、それぞれテーマを決めて作品をセレクトした生徒たち。次はいよいよ文化祭での写真展をイメージして、写真の展示順を考える。
写真展に使用できるスペースは、ふだん写真部が活動するパソコンルームの廊下側の壁。1チームにつき、幅1.4m、高さ2mほどと決して広くはないが、適度に光が入り写真の見やすい場所だ。机のスペースを壁に見立て、セレクトに使った2Lサイズのプリントを並べていく。
「光の感じや色合いが似ている写真でグループを作ると並べやすいよ」と中井さん。「映画やドラマのストーリーをイメージして見せていく方法も。想像力をふくらませて並べてみよう」との言葉に、生徒たちは悩みながら話し合い、手を動かす。
【2時限目】展示イメージを作り上げる
順番が決まったら、実際の展示をイメージする作業。文化祭ということもあり、どのチームもお客さんに楽しく見てもらいたいと考えている。
たとえばA班は、各作品にカラフルなフチを付けることを思いついた。持参した色紙を写真に当てながら、写真の中にある色彩との組み合わせを試行錯誤する。
また、ほかの班も余白を付けてはどうかと白い紙に写真を乗せてみたり、柄のある布に写真を置いてみたり。次第に明確になっていく展示のイメージに、生徒たちの表情が輝きを増してきた!
【3時限目】用紙はどうする?
さて、ここで展示に重要な「用紙選び」の話。今回の授業では、エプソンの「写真用紙クリスピア <高光沢>」「フォトマット紙」「Velvet Fine Art Paper」という質感の異なる3種類の用紙を用意した。生徒たちに実際の紙の手触りや雰囲気を確かめてもらい、自分たちの作品にふさわしい用紙を選択する。
中井さんは、カラフルなフチを付けるチームには「色彩を強調するなら『写真用紙クリスピア <高光沢>』が映えそうだね」とアドバイス。一方、白フチの落ち着いた展示にしたいチームには「写真によって2種類の紙を使い分けてもいいよ。夏を感じさせる明るい写真は光沢のある『写真用紙クリスピア <高光沢>』、ちょっとアートっぽい写真は画用紙に似た『Velvet Fine Art Paper』を使ったらどう?」と提案。実際に別々の紙でテストプリントして、その違いを確かめた。
エプソン 写真用紙 クリスピア <高光沢>
高い光沢感で、メリハリがきいて鮮やかな印象に。
エプソン フォトマット紙
光沢はなく、落ち着いた雰囲気を演出。
エプソン Velvet Fine Art Paper
紙に凹凸があり、手触り感のある作品に。
【4時限目】本番プリント開始!
各班ごとに用紙や展示のイメージが決まったところで、本番プリントを開始! 3台のプリンター「エプソン EW-M973A3T」をフル稼働させてプリント作業が始まった。
「エプソン EW-M973A3T」はエコタンク方式のため、作品クオリティーを落とすことなく印刷コストを抑えられるのが大きな特徴だ。前回に何十枚もの2Lプリントを出力したにもかかわらず、今回もインク切れを起こさずに作品をプリントアウトすることができた。
特に画素数に余裕があり、文化祭で大きく見せたい作品はA3ノビでプリント。生徒たちは、初めて見る自身の作品の大伸ばしにびっくり。「想像以上の迫力。感無量です!」と笑顔を見せてくれた。ここまで苦労したぶん、プリントの醍醐味も伝わったようだ。
出力した作品はパネルに仕立てて、展示用の作品が完成。教室に充実感がみなぎっていた。
【5時限目】今日の成果を確かめる
限られた時間の中では全員の作品を仕上げることはできなかったが、せっかくなので今日ここまでの成果を形にしようと、実際に壁に貼って雰囲気を確かめることにした。中井さんも生徒たちも最後の力を振り絞り、展示のイメージを作り上げる。
壁面に設置されることで、「写真のパネル」が「作品」へと最後の変貌を遂げる。ゴールのイメージがはっきりと見えた瞬間だった。
最終のフィニッシュワークは、文化祭での展示。運良く中井さんにも立ち会ってもらえることになった。その様子を次ページでレポートする。
この授業で使用したプリンター
エプソン EW-M973A3T
インクがエコタンク方式だから、とにかくコスパ良し! 写真部員たちが次々と写真を印刷してもインク切れが少なく頼もしい。A3ノビ対応・染料5色の鮮やかさに加え、顔料のマットブラックを含めた合計6色のインクによって、作品づくりの幅を広げられる。
【11月4日・5日開催】ついに本番! 文化祭レポート
待ちに待った文化祭 (通称「秩農工祭」) は、毎年市民も楽しみにする秩父の一大イベントだ。そんな中で行なわれる写真部の展示。飾り付けにも熱が入る。
8つの班に分かれたグループ展。班ごとの展示テーマに合わせ、装飾に工夫を凝らす。作品にグラデーションの色フチを付けたり、写真を夜汽車の窓に見立てカーテンを付けたり。高校生らしい柔軟な発想による、グループごとの個性が際立つ壁面が完成した。
「この写真、初めて見たよ! 新しく追加したんだね」「この並べ方、いいじゃない!」これまでの指導が実を結んだ見応えのある内容に、中井さんも目を見張った。
完成後には、高校生たちから中井さんへ感謝のサプライズセレモニーも。「このプロジェクトを通して、写真を人に伝える楽しさを実感してもらうことができたならうれしい」と中井さん。
勉強や課題で忙しい中がんばった写真部の皆さん、ご協力いただいた顧問の先生方、おつかれさまでした!
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対象購入期間 2023年10月19日 (木) ~2024年1月8日 (月)
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中井精也 (Seiya Nakai)
1967年、東京生まれ。鉄道の車両だけにこだわらず、鉄道にかかわるすべてのものを被写体として独自の視点で撮影し、「1日1鉄!」や「ゆる鉄」など新しい鉄道写真のジャンルを生み出した。2004年春から毎日1枚必ず鉄道写真を撮影するブログ「1日1鉄!」を継続中。広告、雑誌写真の撮影のほか、講演やテレビ出演など幅広く活動している。全国を旅しながら自身の作品を販売する「ゆる鉄画廊NOMAD」を展開中。
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埼玉県立秩父農工科学高等学校
明治33年 (1900年)「秩父郡立乙種農業学校」として創立。農業・工業・家庭科の3学部7学科に分かれ、専門分野について学べる県立職業高等学校。写真部は部員約40名。秩父市とのコラボ写真展など、活発な活動を行なっている。
→ WEBサイト
■2023年11月25日 (土) 開催!
「CAPA博 2023」で今回のプロジェクトの作品の一部が展示されます。写真展は事前申し込みなしでご覧になれますので、ぜひ遊びにきてください!
また、プロジェクトの舞台裏を動画でもご覧いただけます。中井先生のコメントとともにお楽しみください。
〈協力〉エプソン販売株式会社