ここからは、惜しくも選外となった作品の中から、鵜川真由子先生が気になった作品をピックアップしてアドバイスします。
ピックアップ「自分の手で」(3枚組)
今泉日和 (愛知県豊川市 / 豊川高等学校 / 写真部)
粒子の粗いモノクロ作品の中でも、とてもインパクトがあって目を引きました。ただテーマと作品との間に隔たりがあるように思いました。キャプションやタイトルも表現の一部です。この場合は作品に合わせて硬派なフィクションにした方が良かったと思います。作品を客観的に見る作業は、その良さに気づくための大切な過程です。
ピックアップ「メランコリー」
飯塚真子 (島根県出雲市 / 17歳 / 出雲北陵高等学校 / 写真部)
作品に明確な意図がある場合は、表現の手段として技術を効果的に使う必要があります。モデルのメランコリックな表情が魅力的なこの作品は、逆光を上手に利用することでより印象的なポートレートに仕上げることができます。人物の露出が足りていないので、結果的にアンダーにする場合でも撮影の際には露出補正をしましょう。
ピックアップ「あの日あの時」(5枚組)
川﨑廉斗 (和歌山県田辺市 / 17歳 / 和歌山県立神島高校 / 写真部)
とても好きな作品です。被写体の見つけ方や距離の取り方が上手だと思いました。すごく面白いのですが、変顔のインパクトが強すぎて他の写真が弱く感じてしまったのが残念です。少年たちのキャラに委ねず、誰を撮っても面白い場面を捉えることができたら、それは撮影者のオリジナリティ−なので強力な武器となるでしょう。