久しぶりに行動の自由が戻ってきた2023年。プロ写真家の皆さんに「2023年、買ってよかったモノ」を一斉調査しました。2024年の明るく楽しい写真ライフの参考になれば幸いです。さあ、どんなアイテムが出てくるかな？
川北茂貴さんの2023ベストバイ「キヤノン RF200-800mm F6.3-9 IS USM」
超望遠ズームながら機動力の高さにホレボレ
私は夜景とともに好きな被写体として、朝日や月と組み合わせたスカイツリーなどを超どアップで、軽くて沈胴式でコンパクトな「RF800mm F11 IS STM」に「EXTENDER RF2x」を加えて、いつも焦点距離1600mmで撮っている。そんな私の耳に飛び込んできたのが、キヤノンからRFマウントの200-800mmズームが発売されるとの情報。でもこのあたりの焦点距離は高価で、私には単焦点800mmがあるからいいやと注目していなかったが、価格が発表されると、ちょっと頑張れば手が届きそうだなと俄然欲しくなり、予約受付スタートと同時の「ポチッ」で無事発売日に届いた。
大きい！ と思いきや、エクステンダー付きでカメラバッグに収まる
いやそれにしても大きい。直径はそれほどでもないが、長さと重さは私史上最大。でも、カメラと「EXTENDER RF2x」を付けたままでカメラバッグに収まるのは立派。単焦点800mmにはなかった回転式の三脚座で、縦位置の撮影が楽なのが嬉しい。
そこにレンズ用のストラップも付けるのだが、カメラ用と合わせて2組のストラップは初めての経験で、首にかける際にハテどちらなのかと戸惑う……。また、これも初めてとなるレンズファンクションボタンには、どの機能を割り当てればよいか思案中でまだ空白だ。フォーカスリングと兼用のコントロールリングはISO感度設定を割り当てた。私が夜景を撮るときは、絞り優先オートで絞り値は固定し、被写体の明るさに応じて算出される露光時間を、ISO感度のみをコントロールリングで上下させて調整しているからだ。
手に入れてまだ2週間ほどなのでそれほど使い込んでいないが、画質や操作感には満足している。そもそもこうした超望遠レンズで遠くの被写体を狙うと、空気が陽炎のように揺らいで甘い描写になる。ライブビューで拡大して見るとユラユラしているが、その揺れの幅が甘い描写となるのだ。
それでも大気の状態が良いときや近景を撮る場合もあるので、今後の撮影でレンズ本来の性能にも注目している。本体が白いので高性能を謳うLレンズのように見えるが、実は非Lレンズ！ 少し驚いた。
作例
2倍エクステンダーを装着して1600mm相当で撮影
この写真は開業間もない話題の麻布台ヒルズを、東京タワーを手前に配し、そこから3.4㎞離れた豊洲ぐるり公園から「EXTENDER RF2x」を加えて1600mmで撮ったもの。東京タワーの鉄骨などの細部や、ビルの窓の中の人のシルエットもはっきりと写っている。最初の何枚かは無風なのにわずかにブレていたので、あたりを見渡すと、どうやら私の後ろ30mほどで稼働している工事の重機が原因のよう。しかし17時を過ぎると止まったので撮り直した。
このように、通常の撮影では考えられないような失敗の落とし穴が待ち構えているのが、超望遠での夜景撮影。無風で三脚使用、ケーブルレリーズでさえ振動を伝えるので、キヤノン純正スマホアプリでライブビュー撮影、撮影毎にその場で最大倍率にて確認、が私のデフォルトの撮影手順だ。
ワイド端200mmで撮影
同じ場所からこのレンズのワイド端200mmで撮ったものと比べると、いかにアップで切り取れるかが一目瞭然。この写真は、別の被写体をテレ端の800mmで撮っていたところ屋形船がやって来るのが目に入り、麻布台ヒルズなどの手前に光跡として構図に入れようと、急いで画角を変えて撮ったもの。単焦点ならレンズの付け替えが必要なので間に合わなかっただろうが、ズームならではの機動力をあらためて実感できた。
テレ端800mmで撮影
ちなみに今回の撮影場所「豊洲ぐるり公園」は、同じ場所でカメラの向きを変えるだけでスカイツリーも撮ることができる、被写体豊富なロケーション。年末年始に厚着して出かけてみてもいいかも？
さて、もういくつ寝るとお正月。毎年恒例の初日の出も2024年はこれで狙う予定だが、気になるのはお天気で、こればかりはなんともしようがないね。