久しぶりに行動の自由が戻ってきた2023年。プロ写真家の皆さんに「2023年、買ってよかったモノ」を一斉調査しました。2024年の明るく楽しい写真ライフの参考になれば幸いです。さあ、どんなアイテムが出てくるかな？
コムロミホさんの2023ベストバイ「パナソニック LUMIX S5IIX」
「リアルタイムLUT」で自分なりの絵を作り出して表現できる時代になった
2023年も気づけば、さまざまなカメラやレンズを購入していた。カメラはニコン「Z f」とパナソニックの「LUMIX S5IIX」。レンズはライカ「ズミクロン 35mm f2.0 1st」や「ズマリット 50mm f1.5」など、オールドレンズを中心に単焦点レンズを購入。
購入したカメラを振り返ってみると、ニコン「Z f」はカタログの撮影も担当させていただいた思い入れの深いカメラだ。モノクロで作品を撮影している私にとっては必要不可欠なカメラといえる。見た目のかっこよさだけでなく、新たに追加されたモノクロ表現に惚れ込んで購入。予約してから手元に届くまでは長らく待ったが、そのぶん愛着のある一台だ。
そして、もう一つ購入したのが「LUMIX S5IIX」。ほぼ同時に発売された「LUMIX S5II」とも悩んだが、決め手はデザインのかっこよさ。「LUMIX」のロゴがブラックになり、シンプルなデザインが美しい。
斬新な新機能「リアルタイムLUT」
そして、「S5II」や「S5IIX」から新たに追加された機能「リアルタイムLUT」がとにかくおもしろい。動画編集時に色やトーンを変えるのに使用する「LUT」(ルックアップテーブル) をカメラの中に取り込み、その「LUT」を適用した写真や動画をリアルタイムに撮影できるという斬新な機能だ。
「LUT」はネット上で見つけることもできるし、自分で作り出すこともできる。自分の好きな絵作りをカメラの中に取り込めるため、無限大に表現力を広げることができる。ファインダーを覗けば、その絵作りを適用した状態で目の前の情景を見ることができるため、いろんなアイディアが浮かびやすくなる。
今まではメーカーごとの絵作りの違いを加味してカメラを選んでいたが、「リアルタイムLUT」という機能が追加されたことによって、自分で好きな絵を作り出して表現できる時代になった。「S5II」や「S5IIX」は、これからのカメラのあり方が大きく変わっていくきっかけになるだろう。
オールドレンズのマイブームが再来
そして、レンズはオールドレンズを数本購入している。ここ数年はシャープな描写のレンズが好きだったが、ライカ「ズミルックス 50mm f1.4 1st」、通称「貴婦人」を2022年に購入したのをきっかけに、柔らかくニュアンスのあるレンズにも興味を持つようになった。
恐ろしいことに、このブームは繰り返す。というのも、10年前はズマリットのオールドレンズならではの描写にハマっていたのだ。柔らかな描写に目が慣れてくると、シャープで抜けのよい描写が新鮮に感じるようになる。そして、シャープなレンズばかり使っていると、次はオールドレンズの独特な描写が新鮮に感じ始める。深いレンズ沼にハマっている方なら理解できる現象だろう。
さすがにこのサイクルはもう来ないだろうと思って、オールドレンズを手放したが、2022年あたりからじわじわとやってきた。手に入れたレンズを「Z f」や「S5IIX」に装着して作品づくりをするのもおもしろそうだ。10年前にオールドレンズにハマっていたころとは違った作品が撮れることだろう。
2024年は仕事の撮影だけでなく、作品もしっかりと撮影していきたい。2023年に出会ったカメラやレンズをどう活用していくのか、自分自身も楽しみだ。
作例
フォトスタイルを「L.モノクロームD」に設定。粒状を追加すれば、撮って出しでフィルムで撮影したようなモノクロ表現を楽しめる。
「リアルタイムLUT」を使用して撮影。シアンがかった色味になるようにLUTを作成。撮って出しでシネマティックな写真を撮影することができる。