ここからは、惜しくも選外となった作品の中から、鵜川真由子先生が気になった作品をピックアップしてアドバイスします。
ピックアップ「25」(3枚組)
藤沢 心 (大阪府松原市 / 15歳 / 大阪府立生野高等学校)
コメントには「クリスマスの朝、妹を撮りました」とあり、動きのある不思議な写真が目を引いたのですが、妹さんがあまり写っていないことに少し困惑しました。家族を撮ることは、自分の想いを写すことでもあります。彼女にまつわることを丁寧に撮ってみてはいかがでしょうか。抽象的な写真は、たくさんある中ではアクセントとなりますが、少ない枚数で見せる場合にはセレクトに注意が必要です。
ピックアップ「不穏」(4枚組)
鈴木花明 (愛知県岡崎市 / 17歳 / 光ヶ丘女子高等学校 / 写真部)
雨の日の街にはフォトジェニックな光景がたくさんありますよね。それをつかまえることを楽しんでいて好感を持ちました。ただ、可愛い犬が入っていることでタイトルの「不穏」という要素が薄れてしまいました。この場合は雨が作り出す面白い場面を切り取った写真だけで構成した方が、組写真としての完成度は高くなったと思います。
ピックアップ「バイアス」(4枚組)
辻みなつ (大阪府松原市 / 17歳 / 大阪府立生野高等学校)
「未成年があまり行かない場所」というコメントから、場所を想像してみました。怪しげな色の光の中で断片を切り取った作品ですが、やや情報が少ないと感じます。ふだん行かない場所なら興味を引かれるものがたくさんあったはずなので、そういったものを撮ることで作者のドキドキやワクワクが伝わるってくると、さらに良い作品になったと思います。
ピックアップ「僕の居場所」(4枚組)
田上莉子 (和歌山県田辺市 / 16歳 / 和歌山県立神島高等学校 / 写真部)
階段を舞台に、ポツンと少年が佇んでいます。青い空と、差し込む夕日が作る光景に美しさを感じました。一枚一枚の画面構成がしっかりと作り込まれていて美しい。ただ、孤独という心理的な要素はあまり感じませんでした。せっかくいい作品なので、一度自分の思いとは切り離して言語化するということにトライしてみてください。