ここからは、惜しくも選外となった作品の中から、鵜川真由子先生が気になった作品をピックアップしてアドバイスします。
ピックアップ「Angel」
佐藤怜奈 (川崎市高津区 / 15歳 / 神奈川県立川崎北高等学校 / 写真部)
丸いライトを天使の輪に見立てたアイディアがとても面白いですね。ただ、描写にはリアルな人間っぽさが残っていて、どっちつかずになっていたのが残念なポイントでした。もし作り込むならば髪型や衣装、背景の色など細部までこだわる必要がありますし、反対に自然体で撮るなら偶然の出来事のように見せることでユーモアのある作品になったかもしれません。
ピックアップ「こっち向いて」
坪井柚奈 (愛知県小牧市 / 17歳 / 愛知県立小牧南高等学校)
逆光の中でふんわりと撮りたかったのですね。惜しいです。光が強過ぎました。直射日光にレンズを向けると白く飛び過ぎてしまうので、レースカーテンを一枚引くなどして、少し光を柔らげましょう。その上で、日光をレンズに直接入るか入らないかの位置に持ってくる、そして露出を少し上げる、という工程を経れば、フレアは入るがまぶし過ぎない、ちょうど良いふんわり感になります。
ピックアップ「夏、晴れのち雨」(3枚組)
廣畠大侍 (和歌山県田辺市 / 17歳 / 和歌山県立神島高校 / 写真部)
雨の中でも果敢に写真を撮る姿勢、素晴らしいですね。その甲斐あって非常にパワフルな作品になりました。最後の一枚は幻想的でもあります。ただしタイトルを見た時、セレクトはこれで良かったのかな? と思いました。少ない枚数で何かを伝えるには、セレクトが鍵になります。自分の写真を客観的に見る癖をつけられるといいですね。
ピックアップ「性」
宇井絢音 (和歌山県田辺市 / 18歳 / 和歌山県立神島高校 / 写真部)
力のある写真を撮る人だからこそ、今後の飛躍のためにあえて厳しめのアドバイスをさせてください。今回の題材は深く繊細なテーマです。まずは挑戦する姿勢が素晴らしいし、写真もとても美しいです。ただし実際の心の機微を当事者ではない人が演じ、作品として発表することは「表面上そのように見える」に過ぎず、時には他人の人生を搾取することにもなり得ます。
テーマが深ければ深いほど、なぜあなたがそれを撮るのか、撮らなくてはならないのか、その意味を問われるのです。よく考え、リサーチし、掘り下げること。そして知識としてだけではなく自分が体験して感じたことを大切にしてください。その時に見えたことこそがあなたの「核」であり、撮るべきテーマなのだと思います。期待しています。