ここからは、惜しくも選外となった作品の中から、鵜川真由子先生が気になった作品をピックアップしてアドバイスします。
ピックアップ「木々」(4枚組)
萩原 律 (和歌山県田辺市 / 17歳 / 和歌山県立神島高校 / 写真部)
光と影を捉えた重厚な作品で、神秘的でもあると思いました。そのためか石の仏像の写真が出てくるのですが、そこに違和感を感じました。作品を見る側は作者の意図を読み取ろうとするので「何となくいいかな」と思って組み込むと、テーマとは違う方向に誘導されてしまいます。木々の作品だけで十分に神秘性を表現できますから、意味を持たせるために違う写真を入れるのではなく、テーマそのものに磨きをかけてほしいと思います。
ピックアップ「大掃除」(3枚組)
稲石七彩 (愛知県豊川市 / 豊川高等学校 / 写真部)
大掃除の様子を手元のアップで表現するという、斬新な作品です。1枚目、2枚目、とインパクトのある写真が続きかなり引きつけられましたが、3枚目で種明かしがあり、現実に引き戻されてしまったところが惜しいポイントでした。ここは手元のアップで統一した方が作品としての訴求力があったでしょう。組写真はセレクト次第で見え方が大きく変わりますので、あれもこれも入れるのではなく「こだわり」を大切にしましょう。
ピックアップ「彩光地点。」
福田帆乃花 (横浜市泉区 / 15歳 / 神奈川県立横浜瀬谷高等学校 / 写真部)
タイトルにセンスの良さを感じました。赤い光に包まれた少女の瞳が美しいですね。絞りの効果を使った「ボカし」の技術もうまく使い、とても魅力的な写真に仕上がったと思います。ただ小さい画面ではよくわからないのですが、大きなプリントで見るとピント位置が曖昧だと感じました。「ボカし」を使う時はピントの正確さで印象が変わりますので、撮る時によく見るようにしてください。