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佐藤健寿さんが「Xiaomi 14 Ultra」に触れて思う、写真の差別化とプロとして大切な視点

Xiaomi 14 Ultra × 佐藤健寿

話題のスマートフォン「Xiaomi 14 Ultra」と同時に発表されたのが、若手クリエイター育成のために企画されたフォトコンテスト「Xiaomi U30 Photo Contest 2024」。2024年6月30日まで応募可能だ。今回はその最終審査員および7月下旬に開催される一次選考通過者に向けたアカデミーの講師を務める「クレイジージャーニー」でもおなじみの写真家・佐藤健寿さんに、「Xiaomi 14 Ultra」に触れて感じた写真への想いや、これまでの経験をもとに若手クリエイターへのメッセージを語ってもらった。

「行動力」で写真に差がつく

Xiaomi 14 Ultra × 佐藤健寿

佐藤健寿 (Kenji Sato)
写真家。『奇界遺産』シリーズ (エクスナレッジ) は写真集として異例のベストセラーに。ほか著書に『世界』『THE ISLAND – 軍艦島』『CARGO CULT』など。TBS系「クレイジージャーニー」ほか出演多数。写真展は過去、ライカギャラリー東京・京都、高知県立美術館、山口県立美術館、群馬県立館林美術館、米子市美術館などで開催。「佐藤健寿展 奇界/世界」が全国美術館で巡回中。
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── コンテストの審査員として、応募作品に刺激を受けることはありますか?

やはり刺激は受けますね。いろいろなコンテストで審査をする機会がありますが、今の時代に大事なのは「行動力」だと感じます。若い人だからこそ、身近なものだけでなく、どんどん外に出て撮影してほしいです。

今では、写真を始めて1か月という人だったり、使っているカメラも決して特別なものではない人たちがコンテストで入賞するケースも少なくないです。最近のスマホには、エントリーモデルでも10〜15年前のデジタル一眼レフと遜色ないようなレベルのカメラ性能があります。最新機種ではミラーレスカメラと肩を並べるものもあり、撮ることの技術的なハードルが低くなっています。

── その中で、どうやって周りと差を付ければよいと思いますか?

今は撮影技術の習得そのものに昔より時間がかからないので、写真のレベル自体は全体的に上がっていますが、SNSなどで “いい場所” が可視化されていて同じ場所、同じ季節、同じ時間に多くの人が撮りに来ますから、結局、競争自体は激化しています。「これでは人と同じだな」と思ったところがスタートだと思います。最初はそれでもいいと思いますが、人と違うものを撮るには同じ場所を撮影するにしても、何か別のものを入れ込んでみるとか、別の画角を探すとか、些細なことでもプラスアルファを探していくといいですね。

写真を撮っていれば、その人の視点が自ずと写真に出てきます。僕は自分と異なる専門性を持っている人に刺激を受けるので、例えば写真家同士より異業種の人と話すほうが面白いなと感じます。写真の最終的な差別化要因はカメラ以外のところにあると思います。

“ライカ”のフィロソフィーを感じる「Xiaomi 14 Ultra」の画作り

Xiaomi 14 Ultra × 佐藤健寿

── ライカのカメラをお使いの佐藤さんですが、「Xiaomi 14 Ultra」のどんな部分にライカを感じましたか?

出てくる写真のトーンがナチュラルで、ちゃんと暗いところは暗く写って陰影が出ています。抑えた感じがあって良いですね。中域が豊かな画で、後処理もあまり必要ないかなという印象です。昨今のデジタルカメラはとにかく被写体を「可視化」させることを最大化させてきたと思います。解像度、高感度、HDRと、とにかく被写体を「見える」ようにする方向だけを目指してきた。それ以外の判断基準がないからです。

一方で、ライカはレンズを設計するとき、数値的な性能だけではなくテスト撮影したプリントを見て「そのプリントが美しいかどうか」をチームで話し合って評価するという話を聞いたことがあります。

おそらくライカは今でも「美しさ」を製品開発の評価基準に持っている数少ないメーカーだと思います。でも美学は抽象的な価値ですから、歴史や経験がなければ判断ができない。そうした歴史とフィロソフィーが他のメーカーになくて、ライカだけにある強みだと思います。

── 普段使うライカはどんな機材ですか?

特殊な環境でない限り、多くのシチュエーションでは、2台のM型ライカを持ち出します。片方には50mmのレンズをつけっ放しにして、もう1台は21mmや90mmといったレンズ交換用として使うことが多いです。M型ライカを好んでいる理由は第一に高画質であることですが、次に「小型」であることです。特にMレンズのコンパクトさが魅力ですね。各社のミラーレスカメラはボディこそ小型化してきましたが、レンズの小型化には限界がある。最後はどうしても光学、つまり物理の壁につきあたるからです。

── 装備が盛りだくさんの「Xiaomi 14 Ultra」ですが、全体としてどんな印象を受けましたか?

スマホのカメラというとソフトウェア側の話が多くなりがちですが、XiaomiのUltraシリーズは物理的に大きなセンサーを搭載したり、物理ボタンをつけたり、ハードウェア側を進化させたことにとても好感がもてますね。写真を良くしようとすると結局最後は物理に返ってくるというシンプルな話ですが、多くのメーカーが避けていることに正面から挑んでいると思います。

何より、カメラとして普通に使えたことにビックリしました。これなら「カメラを買う」という場面で選択肢に入ってきても自然だと思います。フォトグラフィーキットも “おもしろガジェット” の域ではなく実用的で、グリップのダイレクトな操作感が気に入りました。このシリーズは2代目ということですが、これは継続してほしいです。

ライカもそうですけど、物理ボタンがあるのが良いんです。今はカメラでも何でも、コストダウンのためかタッチ操作ばかりになっています。でもカメラを起動するところから、シャッターボタンとか、ズームレバー、露出補正ダイヤルを操作すると、体験として違いますよね。これが、いわゆる “スマホで撮る” のとは異なる点です。「Xiaomi 14 Ultra」は「カメラ」として使えると思います。

── もし「Xiaomi 14 Ultra」をカメラとして1台だけ持っていくとしたら、どこへ撮りに行きますか?

いやもう、どこでも行けちゃいますよね。「このカメラで雑誌を1冊作れ」といわれたら多分、作れると思います。僕が普段使うレンズは21mmから135mmなので「Xiaomi 14 Ultra」の12-120mmで十分カバーできますし。ズームレバーは、レンズを切り換えるようにステップのあるズーム動作にして使っています。

僕が今、大学生だったら、これ1台だけ持ってアフリカとか行きたいですね。僕がアフリカに行った当時は一眼レフカメラでしたけど、交換レンズをたくさん買えないから35mmのレンズ1本だけで撮りに行ったりしていました (笑)。

佐藤健寿さんが「Xiaomi 14 Ultra」で撮影した作品を紹介

Xiaomi 14 Ultra × 佐藤健寿
東南アジア特有の薄暗い路地と、強い光が作るコントラストを120mmで撮影。プロモードでホワイトバランスをマニュアルで指定し、あえて色を若干かぶらせて路地の空気感を出した。コントラストは強いが黒も潰れず、屋根の微妙な諧調などもよく出ている。
Xiaomi 14 Ultra × 佐藤健寿
雑然とした住宅街に建つ仏像を75mmで撮影した。こちらもホワイトバランスをマニュアルで指定し、場所の雰囲気を優先した。色の分離がよく、仏像の立体感がミラーレスで撮影したそれとほとんど変わらないことに驚いた。
Xiaomi 14 Ultra × 佐藤健寿
ライカ23mmのメインカメラで撮影。強い光のネオン街でブラックミストフィルターを装着して光を拡散させ、さらにポートレートモードで撮影した。揺れる車内でブレないギリギリまでシャッタースピードを追い込んで、背景が流れるような雰囲気を作った。

「他人がどう見るか」の意識が大事

Xiaomi 14 Ultra × 佐藤健寿

── これまでの写真キャリアの中で、特に思い出深い瞬間を教えてください。

最初の写真集『奇界遺産』を出したときです。当時はこうしたボリュームのあるフォーマットの写真集がまだあまりなくて、出版社の人に「今、これでは売れないよ」「分冊にすれば?」と言われました。でも僕はこれを売ろうとかっていう考えも正直なくて、せっかく色々行ったから自分の思い出となる1冊を作りたいと思っていたので、適当に言いくるめて (笑)。そしたら意外に売れて1週間で増刷がかかったり、このシリーズが思いがけず自分のライフワークとなったターニングポイントでした。

このシリーズのきっかけは、サンフランシスコ留学中に大学で与えられた「アメリカのどこかの州を撮る」という課題でした。近くのネバダ州にあるエリア51を撮りに行ってFlickr (写真共有サービス) に写真をアップロードしたところ、専門家から「写真を使わせてほしい」と問い合わせがあったんです。エリア51のような場所は専門家が記録的に撮った写真はあっても、写真家がちゃんと撮った写真がなかったんですね。それから、南米、ヒマラヤにも行きました。自分が興味のあるテーマだったから続いていて、好きなものだからやっているうちに広がっていくんです。

── 珍しい光景を撮るにあたり、記録性と作家性のバランスをどのように考えていますか?

訪れる場所が場所なだけに、あまり抽象的になってしまうともはや何だかさっぱりわからなくなる。だからそのバランスは気をつけています。ロケでは “何を撮って、何を撮らないか” の判断には、ビジュアルだけでなくコンテクストも大事にしています。

例えばパプアニューギニアみたいな場所で変わった仮面をつけた民族を撮るとします。その不思議な文化だけを伝えるのであれば、その人々だけを写すのが正解ですが、その隣に携帯電話を持っている地元民がいたとします。つまりすでにその風習は過去のもので、現実的には近代化しているわけです。そうするとその人物を一緒に撮るか撮らないかで、伝えるべき話がまるで変わってくる。撮影というのは実は一番最初の編集でもあって、そこでその場所のコンテクストをどう読み解くかというセンスが大事になってきます。

写真は最終的に人が見て反応するものなので、やはり他人に見てもらう意識は大事だと思います。僕も美大出身なので若い作家の気持ちがわかるのですが、ともすれば表現活動は「誰も取り組まないこと」、つまる尖ることそれ自体が目的化しがちなんです。もしプロとして仕事にしていくなら、他人がどう見るか、つまりどう伝えるかという視点は何を撮るかと同じくらい大切です。

6月30日まで募集中!「Xiaomi U30 Photo Contest 2024」

Xiaomi U30 Photo Contest 2024

小米技術日本株式会社 (シャオミ・ジャパン) が、フラッグシップスマートフォン「Xiaomi 14 Ultra」の発売を記念して、若手クリエイターを応援する30歳未満限定の「Xiaomi U30 Photo Contest 2024」を開催中。

スマートフォンで撮影した5〜10枚組写真を募集。スマートフォンのメーカーや機種は不問です。一次審査通過者には「Xiaomi 14 Ultra」と「Xiaomi 14 Ultra Photography Kit」をプレゼント。さらに、プロ写真家の講義が受けられる「Xiaomi Photo Academy 2024」に招待します。Academy参加者の中から選ばれた優秀作品は、首都圏主要駅のデジタル広告に掲出されます。

▼詳細はこちらから
https://getnavi.jp/capa/special/460940/

 

〈協力〉小米技術日本株式会社 (シャオミ・ジャパン)
〈文〉鈴木 誠
〈写真〉鈴木謙介