『CAPA』本誌連動企画として毎月公開している、月例フォトコンテスト「学生の部」ピックアップ作品レビュー。今回は『CAPA』2024年8月号で惜しくも選外となった作品の中から、審査員の鵜川真由子先生が目を留めた “気になる作品” をピックアップしてアドバイスします。さらなるレベルアップのためのヒントが満載です!
〈講評〉鵜川真由子
「目は口ほどの物を言う」(3枚組)
翁長絵亜莉 (沖縄県沖縄市 / 16歳 / 沖縄県立美来工科高等学校)
1枚目はカバの写真でしょうか? 皮膚の質感やシワなど、この動物特有の個性が非常に緻密に描写されていて、迫力がある上に美しいと思いました。続く2枚も可愛らしい写真ではあるのですが、やや弱く感じます。1枚目の写真と同じ表現方法で統一できるとより強い組写真になったでしょう。寄れる距離に限界があったのかなと想像していますが、もし可能ならもう少し粘って狙ってほしいと思います。
「おいしいよ、ひいばあちゃん」(4枚組)
土田優姫 (宮城県仙台市 / 16歳 / 宮城県泉高等学校 / 写真部)
タイトルに、とてもほっこりした気持ちになりました。生活感のある蛇口や手料理、ひいおばあちゃんの手元など、狙いはとてもいいのですが、2枚目以降の写真がとても低い位置から見ているようなアングルになっているため、肝心な部分が見えていないのが惜しいところです。せっかくの美味しそうな料理やその料理を作った手元は、もう少し上から撮ってよく見せてあげる方が良かったと思います。
「ふれる」(4枚組)
山中すみれ (和歌山県田辺市 / 16歳 / 和歌山県立神島高校 / 写真部)
非常に美しい作品です。1枚ずつ見ても、4枚での構成を見ても素晴らしい。神島高校の写真部は層が厚くクオリティが高い作品が多いのですが、すべてを選ぶことはできないため、いつも頭を悩ませます。この作品は高校生としてはダントツに上手ですが、このようなテイストで撮る写真家はほかにもいるでしょう。今回入賞した人たちは、逆に大人では撮れないであろう視点で撮っていたことが決め手でした。今のままでも十分素晴らしいのですが、ここに山中さん独自の視点が加われば最強です。