シャオミ・ジャパンが主催する、30歳未満を対象としたフォトコンテスト「Xiaomi U30 Photo Contest 2024」。その一次審査を勝ち抜いたメンバーを招いたセミナー&ワークショップイベント「Xiaomi Photo Academy 2024」が、2024年7月27日に都内で開催されました。その模様を、当日のモデレーターを拝命した筆者・鈴木がレポートいたします。
16歳から29歳まで、個性豊かなメンバーが集結
今回のアカデミーに参加したのは16歳〜29歳の10名。スマートフォンで撮影した5〜10枚の組写真を募集する一次審査を勝ち抜き、日本各地から集結したツワモノの皆さんです。それぞれ作品テーマに個性があり、スマホで撮られた写真であることを忘れるぐらい、さすがというレベルの高さを感じました。
参加者10名には予告通り、「Xiaomi 14 Ultra」と、14 Ultraをよりカメラライクに使えるアクセサリーの「Photography Kit」がセットで手渡されました。10名にとって、これから行われるフォトコンテスト二次審査の相棒となるカメラ……もといスマートフォンです。
■一次審査通過者の応募作品
開会式では、シャオミ・ジャパンの企画担当者からご挨拶。シャオミという企業について、
- スマホシェア世界3位のグローバル企業であること
- ファンを大切にする文化を持っていること
- 革新的な挑戦をしつづける会社であること
という紹介があり、今回使用する「Xiaomi 14 Ultra」は、そんなシャオミが「写真の未来が変わるかもしれない」という期待を込めて開発した製品であるとの説明がありました。
今回のフォトコンテストとアカデミーにも、既存の固定観念にとらわれない「New Focus」を合言葉に、新しい発想で写真を撮ってほしいという思いが込められています。カウントダウンの掛け声とともに「Xiaomi 14 Ultra」の “開封の儀” も行い、スタッフも一体となったアットホームな空間でアカデミーは進行します。
どのようにキャリアを築く? 佐藤健寿さんの座学セミナー
午前の座学セミナーは、フォトグラファーの佐藤健寿さんが講師です。佐藤さん自身がフォトグラファーとなったきっかけを、未公開のものも含んだ貴重な初期の作品や、シリーズ化した写真集のエピソードとともに振り返りながら、写真を媒体として活動していく上での視野を広げるアドバイスがありました。
メディアアートを学びながら、旅好きも相まって写真に取り組むようになったという佐藤さん。大学の課題をきっかけにフォトグラファーとして活動していくようになる経緯は、これからキャリアを積む若きフォトグラファー達にとって、ひときわ興味深かったことでしょう。コンテストの合言葉である「New Focus」に寄せて「視点に自分らしさを持つことの重要性」や「自分に嘘をつかず、好きなテーマを見つけることが大事」といったメッセージもあり、ステージ上の筆者からも熱心にメモを取る参加者の姿が見えました。
また、技術的には「あえて焦点距離を固定して撮ってみる」というアドバイスが紹介されました。セミナー参加者の世代ではズームレンズが当たり前。「Xiaomi 14 Ultra」にも4つのカメラが搭載されていますが、あえて一つの経験として「今日はこの画角」と決めた位置にズームを固定して、足りない部分は自分の足で前後しながら被写体に向き合ってみることも、そのレンズ (画角) の良さや、被写体との距離関係を掴む助けになるとのことでした。
フォトウォークでモデル撮影にもチャレンジ! 嶋本丈士さんの実践レクチャー
お昼の休憩を挟んで、午後は嶋本丈士さんによる実践レクチャーです。参加者の一次通過作品を見て、「むしろ自分が刺激を受けそうです」と話していた嶋本さん。フォトウォーク出発前に、参加者からの質問への回答や、「Xiaomi 14 Ultra」の特徴を生かした写真撮影のヒントが紹介されました。
「自分にとっての日常が、実は他者との差別化になっていく」という視点、「撮られることに慣れていない人との信頼関係の作り方」「光を操るには影を見ることが大事」「クライアントワークと自分のこだわりのバランスの取り方」など、こちらもフォトグラファーとして活動していく上での貴重なアドバイスがありました。
そしてフォトウォークへ出発。真夏日が続いていた東京、太陽ギラギラでもなく、雨も降らずという絶妙な天気のもと、モデルの池田かれんさんとストリートで撮影です。「Xiaomi 14 Ultra」の超広角カメラ (12mm相当) を使うヒント、その場にあるアイテムを生かして撮影するワザなど、まさに実践編の内容。参加者に紛れて撮影を楽しむスタッフの姿も見逃しませんでした。
続いて室内のスタジオに場所を移し、嶋本さんのアイデアでランプの照明のみでその影を生かした撮影や、内蔵フラッシュを使った撮影方法を実践。「Xiaomi 14 Ultra」の性能を生かした暗い場所での撮影も体験しました。「Xiaomi 14 Ultra」ならではのライカテイストのモノクロームで撮影する参加者も多く見られました。
撮影後は、参加者それぞれがお気に入りの1枚をプリントしました。「若い人だと、なかなか写真をプリントする機会がないかもしれない」と考えた嶋本さんは、いくつかフォトフレームも用意し、プリントした写真が額装されるとどんなイメージになるかを参加者ひとりひとりと対話。また、自身で制作したZINE (小冊子) を持参するなどして、スマホで撮影した写真を展示作品として完成させる楽しさもたっぷり伝えました。
二次審査に向け、“広告撮影”に関するレクチャーも
名残惜しいですがアカデミーも終盤。二次審査に向けた流れの説明です。まず条件は、「Xiaomi 14 Ultra」を使うこと。テーマは「New Focus」で、カラー / モノクロ不問。グランプリには賞金10万円 (1名)、優秀賞には賞金5万円 (最大3名) が贈られます。
そして二次審査の撮影でポイントとなるのは、優秀作品が「首都圏近郊のデジタル広告になること」。JR東日本の主要ターミナル駅で、2024年9月中旬からデジタルサイネージとして展示されるそうです。そのため単写真でアスペクト比は3:4の縦位置と指定があり、撮影ジャンルは不問ですが、“交通広告としてふさわしい作品であること” という条件が付きます。
ここで一歩踏み込んで、コンテストの担当者より「広告撮影において気をつけるポイント」という解説がありました。表現と基本的人権、公序良俗との関係性はもちろん、知的財産権や許諾関係を確認する大切さについて、広告代理店の現場担当者から直接講義を受ける機会となりました。二次審査に臨むフォトグラファーの皆さんにとっては、このコンテストそのものが “クライアントワーク” の始まりと言えるのかもしれません。
今後も「シャオミ&若手フォトグラファー応援企画」に期待
こうして二次審査までの流れも伝えられ、今回のフォトコンテスト企画でハイライトとなる「Xiaomi Photo Academy 2024」は幕を閉じました。これはスタッフ側の目線ですが、講師の佐藤健寿さん・嶋本丈士さんのお二人とも、“若いフォトグラファーに向けたセミナー” という企画趣旨に対し、打ち合わせの段階からさまざまなアイデアが出ていました。自身のキャリアを追体験させてもらうような佐藤さんのトーク、撮影の実践テクニックからプリントの楽しみまで盛り込んだ嶋本さんのレクチャーは、これからキャリアを積むフォトグラファーに向けた、まさにアニキ的見地からのエールでした。
シャオミ・ジャパンも、このように写真を軸としたハートフルイベントを恒例化していきたいそうで、今回参加した皆さんを “第一期メンバー” として、同窓会のように集まる場が作れたら……といった夢もあるとか。いつかこのアカデミー参加者から、売れっ子フォトグラファーや大作家が誕生するかも? という想像も尽きないスタッフ一同なのでした。全国から参加された皆さま、そして講師のお二人、お疲れさまでした!
〈協力〉小米技術日本株式会社 (シャオミ・ジャパン)
〈取材・文〉鈴木 誠
〈写真〉鈴木謙介、CAPA編集部