『CAPA』本誌連動企画として毎月公開している、月例フォトコンテスト「学生の部」ピックアップ作品レビュー。今回は『CAPA』2024年9月号で惜しくも選外となった作品の中から、審査員の鵜川真由子先生が目を留めた “気になる作品” をピックアップしてアドバイスします。さらなるレベルアップのためのヒントが満載です!
〈講評〉鵜川真由子
「半端」(4枚組)
𠮷本実央 (17歳 / 和歌山県田辺市 / 和歌山県立神島高校 / 写真部)
着眼点がとてもいいですね。日常の中に潜むちょっとした違和感に目を向けた作品を、重厚なトーンで仕上げています。大きなプリントで見てみたいと思いました。ぜひ同じテーマで撮り続けて作品を展示することを目指してほしいです。スタイリッシュな中にもクスッと笑える要素が少し入ってくると、より深みのある作品になるでしょう。
「中身はどこへ」
波片涼太 (15歳 / 愛媛県新居浜市 / 愛媛県立新居浜工業高等学校 / 写真部)
とても不思議で、気になった一枚です。素敵な作品なのですが、コントラストが高すぎて肝心の卵の殻が白く飛んでしまっているのが惜しいポイントです。芝生の緑色もかなり彩度が高いように思いますので、もう少し柔らかく自然なトーンで当たり前の表現をした方が「道端に落ちている卵の殻」という変てこな物の違和感がより際立ったのではないでしょうか。
「やってみたかったやつ」
池田有輝 (17歳 / 和歌山県田辺市 / 和歌山県立神島高校 / 写真部)
タイトルと満面の笑顔だけで、すぐに好きになれる作品。やってみたかったことをやれた喜びで、画面から人物がはみ出してしまっているところなど、直球で初々しく、とても好感が持てます。このマインドのまま技術を磨いて、いつかすごくかっこいい千手観音を見てみたいなと思いました。いつまでもユーモアや遊び心を忘れないでほしいと思います。