CAPA本誌でもお馴染み、女性セルフポートレート写真家として大きな注目を集めるRinatyさんが、初の著書「#セルフポートレートの裏側 撮影もモデルも全部わたし。」(玄光社刊)を刊行。9月7日(土)に東京・高円寺にあるニッシンデジタルGallery Studioにて開催された、Rinatyさん本人主催による出版記念ミニ個展にお邪魔しました。
「#セルフポートレートの裏側 撮影もモデルも全部わたし。」は、そのタイトル通りセッティングから撮影、モデルまで、全て自分ひとりで行っているRinatyさんの撮影の裏側を約50点の作品をピックアップし丁寧に解説。また、なぜセルフポートレートなのか?といったマインドの部分から、撮り方のルール、そして雪山や海、岩場や室内など、あらゆるロケーションで撮影した過酷とも言える状況の裏側など、臨場感たっぷりに見て読んで楽しめる1冊です。
ミニ個展は、ギャラリーの壁面に著書にも掲載された展示作品が展示され、その下には作品ごとの裏側スナップを展示。それらをRinatyさんが解説していく展示作品解説と、トークショーを1日2回開催しました。
展示作品解説では、1点づつ丁寧に解説。本書に掲載できなかった裏側スナップも一部展示されており、「夏の山の中の撮影で蚊に刺されないようにするには、ハッカ油がいちばん効果がある」といった、数々の野外撮影を経験してきたRinatyさんならではのエピソードも飛び出しました。
トークショーでは、著書の中でも記している「セルフポートレートは自分を好きになる手段」であること、「世間では平凡な存在の私も、作品の世界では最強の主人公になれるんです。わたしだけの世界観で、そこに映った私なら好きになれる」、「自分に自信のない人にこそセルフポートレートを撮ってほしい」と熱く語りかけます。
また、立山連峰で撮影した雪山での表紙カットの裏側のエピソードも披露。41キロの機材を背負って未完成の衣装(ウィッグなどは撮影時に着けるため)で登る姿に、登山客に何度も振り返って見られたこと。自身がモデルになる作品撮影も、その様子を見せる裏側写真も裏側動画もすべて一人行い、裏側を撮影してくれる人を連れて行けば良かったといった苦労話や、普段天候には恵まれないRinatyさんだが、この表紙撮影のタイミングでは奇跡的に撮りたいイメージの天候になり、「ここで全部の運を使った」など、どう考えても大変な撮影の裏側を、持ち前のバイタリティで乗り切った様子を楽しく語ってくれた。
トークショーの後、Rinatyさんからコメントをいただきました。
台風でスケジュールがだいぶ変わってしまって、今日みんな来てくれるかってすごく不安だったんですけど、朝からずっと大勢の方が来てくださって、すごくほっとしています。今回のミニ個展は、できるだけ著書を手に取ってもらえるよう意識しました。普段の個展では、裏側写真とかもそこまで展示しないんですけど、今回は裏側写真も含めどちらも楽しんでもらえるようにっていうのを意識しながら展示させていただきました。
初の著書「#セルフポートレートの裏側 撮影もモデルも全部わたし。」は、もちろん全部読んでほしいんですけど強いて挙げるなら、岩場での赤いドレスの作品があるのですが、本の中でも書いているように、この作品が私の原点というか、原動力というかそういう作品なんです。この作品を撮るときに工夫したこと、裏側、想い、そこを特に見て読んでほしいと思っています。
本に載せる作品を選ぶにあたって、「セルフポートレートの裏側」というタイトルなので、裏側の写真が必要だったんです。でも作品を見返すと、撮影に夢中になって裏側写真を撮ってない作品とかも結構あったんです。「この写真すごくいいけど、裏側の写真が無い!」ということもあったので、もっと撮っておけば良かったと思いました。氷の中で撮った作品なんかは、裏側写真を撮ろうにもスマホの充電が落ちてしまうと撮れないとかそういうのもあって、寒いところで撮った作品には、残念だけでど載せられない作品も多かったです。
セルフポートレートを続けていられるのは、皆さんの応援があるからです。やっぱり応援してくださった方にまた新しい作品をお見せしたいという想いがあります。あとは、自分のメンタルを良くするために自分を撮っているのもあります。写真を撮って、キレイに写った写真を見るとすごく元気が出るんです。なので、今回はこういうふうにキレイに撮れた、そうしたら次はもっとキレイに撮りたいなって思う。いい作品を撮ったら、もっとさらにいいものを撮りたい。もうどんどんその欲が出てくるので、それがずっとセルフポートレート作品を撮り続ける理由というか、秘訣に繋がっています。
「#セルフポートレートの裏側 撮影もモデルも全部わたし。」
Rinaty著 B5判 144ページ、定価2,420円(税込)