『CAPA』本誌連動企画として毎月公開している、月例フォトコンテスト「学生の部」ピックアップ作品レビュー。今回は『CAPA』2024年10月号で惜しくも選外となった作品の中から、審査員の鵜川真由子先生が目を留めた “気になる作品” をピックアップしてアドバイスします。さらなるレベルアップのためのヒントが満載です!
〈講評〉鵜川真由子
「Oh!!」
市田結衣 (17歳 / 横浜市都筑区 / 神奈川県立川崎北高等学校)
思わずクスッと笑ってしまうようなコミカルな写真で、私のお気に入りの一枚です。決定的な瞬間を捉えていて主役はお父さんのように見えますが、二人の子供にもそれぞれドラマがあり、画面をじっくり見ているとじわじわと面白さが伝わってきます。もっと画角を狭く絞って、より人物にフォーカスすれば、さらに迫力のある作品になったと思います。参考までに、マーティン・パーという写真家の作品を一度見てみてください。
「たそがれ時」(5枚組)
鈴木月渚 (17歳 / 和歌山県田辺市 / 和歌山県立神島高校 / 写真部)
とてもセンスがいいと思います。ダークファンタジー映画のような、自然には存在しない不思議な色味が目を引きます。撮りたいものを思い通りに撮る技術はすでにあると思うので、次はやはり「何を撮るか」が大切になってきますね。それはおそらく写真以外の、人生のどこかにあるものだと思うのです。もしかしたら映画を参考にしてみるのが鈴木さんには合っているかもしれないなと思いました。(高校生なのでお勧めしていいかがわからないため具体的なタイトルは控えますが) 日本映画でもヨーロッパの古い映画でも、名作とされている映画は映像がとても美しい上に重厚なストーリーのものが多いです。見ればちょっと世界が広がるかもしれませんので参考まで。
「形想」(4枚組)
生駒咲樹 (16歳 / 和歌山県田辺市 / 和歌山県立神島高校 / 写真部)
かなり不思議な作品で、どうしても素通りすることができませんでした。人と違うアイデアを形にしてアウトプットしているところはとても評価できます。ただし変わったことをする時は作品にしっかりとした核の部分が必要になってきます。今は「面白い」ところまでは来ていますので、これらが何を表しているのか、どういう意図が込められているのか、そこをもう一歩踏み込んで考えることができれば強いメッセージを持ち、作品としての評価につながるでしょう。